生命保険でお金を借りる「契約者貸付制度」とは?仕組みと借りるまでの流れ

契約者貸付制度とは、生命保険の契約を担保にお金を借りる方法です。

現在、生命保険に加入している人が利用できる制度で、審査もなく低金利で借りられるのがポイント。

メリットが多い制度ではあるものの、仕組みがややこしいため、使い方を誤ると生命保険が解約されてしまったなんて事態にもなりかねません。

いざというときのために知っておきたい「契約者貸付制度」の仕組みについて、わかりやすく紹介します。
実際に借りてから返済するまでの流れもみていきましょう。

新型コロナウイルスにより特別な貸付条件を設けている保険会社も

現在、コロナショックにより失業したり、生活が困窮している人を対象に、契約者貸付の条件を緩和している保険会社が増えています。

適用期間中は金利0%で借りられるなど、非常に良い条件となっているため、保険に加入している人はチェックしておきましょう。

契約者貸付制度は生命保険で今すぐお金を借りる方法

生命保険の約款の写真

契約者貸付は、生命保険の契約を担保にしてお金を前借りする方法です。

契約者貸付の資金となるのは「解約返戻金」と呼ばれるお金。

解約返戻金とは?
生命保険は月々の掛金を支払い、契約者本人の死亡や事故があった際に保険料が支払われるしくみです。
本人に死亡や事故がなかったとき、掛金の一部を「解約返戻金」という形で受け取れます。

解約返戻金はゆくゆく自分に返ってくるお金ではあるものの、保険を解約するまでは保険会社が保管するお金です。

つまり保険会社から解約返戻金を前借りする形となります。

契約者貸付制度の最大の特徴は、生命保険を解約しなくてもお金を借りられる点

今すぐお金が必要となったとき、生命保険を解約した返戻金で賄おうとする人も多いですが、契約者貸付制度を利用すれば、保険の契約を継続したまま借入できます。

生命保険を解約すると次のようなリスクがあるため、解約前に契約者貸付を利用できないか検討してみるのをおすすめします。

生命保険の解約で起こるリスク
  • 再加入の審査ハードルが上がる
  • 契約がなくなるため、解約後に死亡や事故にあったときに保険が降りない
  • タイミングによっては今まで支払った保険料より低いお金しかかえってこない

生命保険からお金を借りられるのはどんな人?

契約者貸付は解約返戻金を資金としているため、利用できるのは「解約返戻金」がある保険に加入している人のみ。

生命保険は大きくわけて「積立型(貯蓄型)」「掛け捨て型」にわかれます。

掛け捨て型の保険には解約返戻金がないため、契約者貸付の対象となるのは「積立型(貯蓄型)」に契約している人となります。

解約返戻金がある保険の種類
  • 死亡保険(終身保険)
  • 学資保険
  • 個人年金保険
  • 養老保険

保険会社によって呼び名が異なるため、解約返戻金の対象かどうかわからない場合は、保険会社への問い合わせや電話で確認してみましょう。

また積立型保険に契約していたとしても、そもそも契約者貸付の取り扱いがない保険会社もあるので注意が必要です。

契約者貸付制度の取り扱いがない大手保険会社

アクサダイレクト生命保険
ライフネット生命
楽天生命
メディケア生命

また契約者貸付でお金を借りられるのは契約者本人のみとなります。
保険金のように、受取人がお金をもらうのは不可能です。

解約返戻金は加入期間が長いほど金額が大きくなるため、生命保険に加入して間もない人は借りられない可能性があります。

加入期間が短いとそもそも解約返戻金がなく、契約者貸付で借りられる資金がないためです。

また解約返戻金が少ないと生命保険で借りられるお金も少なくなります。

契約者貸付で借りられるお金はいくらまで?

生命保険の解約返戻金額の明細

契約者貸付で借りられる限度額は、保険会社によって異なりますが、およそ解約返戻金の7~9割が相場となっています。

たとえば契約11年目の解約返戻金が104万3400円で、返戻金の7割まで借りられる契約だとすると、73万380円が限度額となります。

消費者金融は貸金業法で定められている総量規制の対象となるため、年収の3分の1までしか借入できませんが、限度額は500~800万円と幅広く設定されています。

一方生命保険の契約者貸付は総量規制対象外なため、年収の3分の1を超えていても借入が可能です。

生命保険からお金を借りる流れ!申込から返済まで紹介

保険のネットアプリの写真

生命保険からお金を借りる流れについて、申込から返済までの流れに沿って紹介します。

契約者貸付の主な流れは以下のとおり。

契約者貸付の申込の流れ

ネット申込の場合は、書類への記入と返送が省かれるため、即日に借入できるところも多いです。

契約者貸付に申し込む方法

契約者貸付の申込方法は大きくわけて4つ。

  • 電話(コールセンター・担当者)
  • インターネット
  • 店頭窓口
  • 提携ATM

保険会社によって申込方法は異なります。

保険会社名 申込方法
メットライフ生命 電話、ネット
ジブラルタ生命 電話、ネット
アクサ生命保険 電話、ネット
住友生命 電話、ネット、提携ATM
オリックス生命 電話
三井住友海上あいおい生命 電話、代理店
明治安田生命 電話、店舗窓口
富士生命 電話
かんぽ生命 郵便局で手続き
朝日生命 電話、ネット、提携ATM
SOMPOひまわり生命 電話
アフラック 電話
大樹生命 電話、提携ATM
大同生命 電話、ネット、店舗
第一生命 電話、ネット、店舗
ソニー生命 電話、ネット
東京海上日動 電話

保険の担当者がいる場合は、担当者に相談するのが最も効率的でしょう。

また保険会社の中にはキャッシュカードやクレジットカードを発行できるところもあります。

事前にカードを発行しておけば、提携ATMで即日お金を借りられます。

申込の電話は必ず本人がかけなければいけません。本人以外では申込できないため注意しましょう。

申込の際は、保険の契約情報と照合を行います。
保険証書や証書番号がわかる書類など、自身の契約情報がわかるものを用意しておくとスムーズです。

生命保険でお金を借りるときに必要な書類は?

契約者貸付を利用する場合、申込方法によって必要な書類が異なります。

電話、窓口で申し込む場合

電話や窓口で申し込む場合、貸付金の申込書と本人確認書類の提出が必要です。

電話で申し込むと郵送で申込書が送られてくるため、記入を行い本人確認書類のコピーと一緒に返送しましょう。

本人確認書類として認められているもの

運転免許証
パスポート
個人番号カード
各種健康保険被保険者証
各種共済組合組合員証
国民年金手帳
公共料金の明細書など

また申込書には押印が必要です。店頭窓口で申し込む場合や、担当者に取り次いでもらう場合は、印鑑を忘れないよう持参しましょう。

ネットで申し込む場合

ネット申込の場合は、ネットサービスに登録されている情報が本人確認の代わりとなります。

申し込む際、保険の証書番号を入力してログインする必要があるため、手元に保険証書があるとスムーズに申し込めます。

生命保険で借りたお金を返済する方法

生命保険で借りたお金を返済する方法は4つ。

  • 口座振込
  • インターネットバンキング
  • 店頭窓口
  • 提携ATM

メリットでも紹介したように、契約者貸付は返済期日が決まっていません。
自分の好きなタイミングで返済できます。

もちろん月々返済もできる他、一括の返済も可能です。保険会社によって返済方法が異なるため、自分の契約している保険会社の返済方法を確認しましょう。

また全額返済のみ、返済方法が限定されることもあります。

たとえば第一生命の場合、返済方法は電話、来社、ATM、ネットとあるものの、全額返済する場合のみ電話連絡が必須となります。

いずれにせよ借りている期間内は利息がついてしまうため、借りたらなるべく早く返しましょう。

生命保険からお金を借りるメリットとデメリット

生命保険のパンフレットの写真

契約者貸付はお金を借りる方法の中でも、非常にメリットが多い制度です。

生命保険でお金を借りるメリット
  • 低金利でムダな利息を払わなくて良い
  • 審査なしで借りられる
  • 保険会社によっては即日お金を借りられる
  • 今すぐ返済できなくても良い

「低金利」「審査なし」「即日借入可能」と、これほど好条件でお金を借りる方法は他にありません。

解約返戻金のある保険に契約している人なら、ぜひ利用したい制度です。

生命保険でお金を借りる最大のメリットは低金利であること

契約者貸付でお金を借りる一番のメリットは、低金利である点です。
生命保険各社の契約者貸付にかかる金利をまとめました。

保険会社別の利率
保険会社名 利率(年利)
メットライフ生命 1.0~6.25%
ジブラルタ生命 1.12~4.5%
アクサ生命保険 1.25~4%
住友生命 1.55~5.75%
オリックス生命 1.7~7.75%
三井住友海上あいおい生命 1.75~3.00%
明治安田生命 2.15~5.75%
富士生命 2.25~4.1%
かんぽ生命 2.25~6.36%
朝日生命 2.5~5.75%
SOMPOひまわり生命 2.75~3.75%
アフラック 2.75~4%
第一生命 3.0~5.75%
大樹生命 3.0~5.75%
大同生命 3.0~5.75%
ソニー生命 3.0~6.25%
東京海上日動 3.00~3.125%
日本生命 3.00~3.75%

※参考:生命保険協会に加盟している保険会社
※加入時期により金利に変動あり

生命保険でお金を借りると金利は平均で2.28~5.07%
契約者貸付は社会情勢により金利に変動があるため、契約期間によって金利が変わります。

他の借入方法と比較しても、かなりの低金利となっています。

借入方法 上限金利
契約者貸付 2.28~5.07%
消費者金融 18.0%
銀行カードローン 14.5%
クレジットカードのキャッシング 18.0%

消費者金融や銀行カードローンと比較すると10%以上の差に!

5万円を借りて半年で返済すると考えると、3,000円以上の違いが出てしまいます。
契約者貸付(5.07%で計算):1,250円
消費者金融(18.0%):4,438円

借入金額が増えたり、借りる期間が伸びたりすれば、その分利息の差も大きくなります。
いかに契約者貸付の金利が低いかがわかる結果となりました。

無職でも契約者貸付なら生命保険を担保に審査なしでお金を借りられる

契約者貸付は、契約している生命保険が担保となるため、審査なしでお金を借りられます

保険会社からの借金とはいえ、資金となるのは契約者本人の解約返戻金。保険会社が用意した資金ではないため、審査がいらないのです。

Q:申し込み時に何か審査はありますか。
A:本人確認はありますが、審査はありません。
引用:よくあるご質問|メットライフ生命

保険会社の公式サイトに記載があるように、契約者貸付のときに必要なのは本人確認のみ。

審査が不要なので、次のような人でもお金を借りられます。

  • 無職で収入がない人
  • 消費者金融でお金を借りすぎている人
  • 過去に延滞を起こしたブラックな人
  • 未成年

※保険会社によって制限あり

安定した収入がなく金融機関での借入ができない、お金を借りすぎて審査に通らない、そんな人でもお金を借りられるのが契約者貸付です。

また未成年であっても、生命保険の契約時に親権者の同意が行われているため、親の責任のもと契約者貸付を利用できます。

未成年がお金を借りる場合、親権者の公的証明書の提出が必要になります。

契約者貸付には返済期日がなく自由に返済できる

契約者貸付ならではの特徴が、返済期日がなく希望する時期に返済できる点
今お金に困っていて返済が難しい場合でも、お金が貯まってからの一気返済も可能です。

契約者貸付の資金源が自分の解約返戻金である以上、返戻金を越えなければいつ返済しても問題ありません。

ただし契約者貸付は金融機関での借金と同じく、借りた期間分だけ利息がかかります。

くわえて利息が複利計算となるため、借りた金額と期間によっては、知らない間に借りた金額が膨れ上がってしまうケースも。

複利計算とは?
複利計算を説明した図

借りた元金だけでなく、利子を含んだ分にさらに利子がかかる計算方法。

借りる期間が長くなるほど、利息ばかりが増えてムダな出費が増えてしまいます。結果、返済できなくなってしまう可能性もあるので、いくら低金利で自由に返済できるとはいっても早めの返済を心がけましょう。

他でお金を借りられない人にとってもメリットが多い契約者貸付。一方で生命保険を担保にするがゆえのデメリットもあります。

即日お金を借りられる保険会社は少ない

契約している会社によってはメリットにもなりうる点ですが、生命保険会社でお金を借りる場合、会社によって借入までの期間が異なります。

大手生命保険会社の借入までの期間をまとめました。

保険会社名 借入までの期間
オリックス生命 3営業日
ゆうちょ銀行:4営業日
日本生命 月~金(祝日を除く)8時~14時30分まで:当日中
月~金14時31分以降:翌営業日
土日:翌営業日
SOMPOひまわり生命 最短2営業日
メットライフ生命 最短3営業日
アクサ生命保険 最短3営業日
明治安田生命 即日
大樹生命 即日
大同生命 即日
住友生命 即日
※スミセイDSカードを持っている場合
第一生命 即日
※第一生命カード、第一生命サービスパスポートを持っている場合
富士生命 当日15時まで:翌営業日14時以降
当日15時以降:2営業日の14時以降
ゆうちょ銀行:3営業日以降
朝日生命 平日14時30分まで:即日
平日14時30分以降、土日:翌営業日
ソニー生命 平日16時まで:翌営業日
ジブラルタ生命 平日16時まで:翌営業日
平日16時以降、土日祝:2営業日
アフラック 約一週間後

契約者貸付でお金を借りるまでにかかる期間は、平均すると2営業日
保険会社によっては即日の借入に対応しているところもあります。

他に即日お金を借りられる方法は消費者金融しかありません。
銀行ローンや公的融資でも最短で5日ほどかかると考えると、契約者貸付は非常に使い勝手が良い制度です。

ただし即日にお金を借りるとなると、規定の時間までに申込を行う必要があります。
審査はありませんが、本人確認が必要なため、急ぎでお金が必要な人は事前に準備しておきましょう。

契約者貸付制度で返済できないと保険金が減額される

契約者貸付は解約返戻金を前借りするシステムなので、返済しないまま解約してしまうと、借りた金額が差し引かれた状態でお金が戻ってきます。

返済期日が自由だからとお金を借りすぎると、解約したときにはまったくお金が戻ってこないというわけです。

また解約返戻金以外にも、自身の保険金が返済に充てられることもあります。

万が一自分が死亡した場合、本来遺族に支払われる保険金が1,000万円あったにもかかわらず、契約者貸付で借りていた300万円が差し引かれてしまうといった事例です。

目先の理由でお金を借り過ぎた結果、本来保険金が必要とされる場面で必要なお金が手元に入らないトラブルもあるので、利用は計画的に行いましょう。

契約者貸付で返済できないと保険が解約になる

生命保険から借りたお金を返済できない場合、契約している保険は解約となります。

本来返ってくるはずだった解約返戻金は返済に充てられ、保険も継続できない形となってしまうため、万が一のときに手元にお金が残らなくなってしまうことも。

契約者貸付制度で返済できなかった履歴は、信用情報機関にこそ掲載されないものの、トラブルを起こすとその後同じ保険会社では契約しにくくなる可能性があります。

生命保険の本来の役割を理解し、本当に必要なときにだけお金を借りるようにしましょう。

初回貸付金額が決まっている保険会社が多い

生命保険会社によっては、初回の貸付金額が決まっており、少額の借入が難しいところもあります。

たとえば生命保険大手のアフラックでは、初回の借入金額は5万円からとなっています。
1万円だけ借りたいとなった場合でも、対応してもらえないので注意が必要です。

簡単に少額借入できる方法を探している人は、消費者金融も検討してみましょう。

契約者貸付以外に生命保険でお金を借りる方法

生命保険でお金を借りる方法は、契約者貸付以外にも存在します。

生命保険でお金を借りる方法

①保険約款貸付
・契約者貸付
・自動貸付

②一般貸付

契約者貸付は「保険約款貸付」に分類され、約款貸付には契約者貸付以外に「自動貸付」と呼ばれる方法があります。

自動貸付は「保険料振替貸付」とも呼ばれ、保険料が支払えなくなったときに保険会社が立て替えてくれる制度です。
こちらも解約返戻金から支払われるため、保険料の支払いが滞ると自動的に解約返戻金が減っていく仕組み。

また生命保険会社も住宅ローンなどの一般貸付を取り扱っています。
保険会社の多くが、企業や国に対する貸付を行っているため、一般への貸付は現在では少なくなっています。

法人も同じように契約者貸付を利用できるため、必要な場合は保険の担当者に申し出ると良いでしょう。