奨学金を借りるならどの機関?種類や条件をすべてまとめてみた

奨学金を借りる前に知っておきたいすべての情報!金額や条件など解説

進学したいけれど、学費が心配な時に役立つのが、奨学金です。奨学金は学生本人が借入するものですが、仕組みが難しく借りるのに不安を感じている人がいるのも事実。

  • 奨学金はそもそもどういった仕組み?
  • 奨学金を借りるにはどんな手続きが必要?
  • そもそも自分は奨学金を借りられる?

このような悩みを抱えている方に向けて、奨学金を借りる前に知っておきたい金額や借入の条件について詳しく紹介します。

目次

奨学金を借りられる機関を一挙紹介!種類や条件まとめ

公的奨学金と民間奨学金を含めると、奨学金にはさまざまなものがあります。具体的にどのような奨学金があるのか、おもな奨学金の種類を見てみましょう。

独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度

日本学生支援機構の奨学金
国内で最も多くの学生が利用しているのが、日本学生支援機構の奨学金です。日本学生支援機構の奨学金は、以下の3種類。

奨学金の種類 内容
給付型 給付型で返済義務がない
第一種(無利子) 貸与型で無利子
第二種(利子が付くタイプ) 貸与型で利子がつく
年3.0%が上限

給付型の他、無利子と有利子にわかれており、利子のかかる第二種は借入をした年度など条件によって異なりますが、高くても年3.0%以内で借りられるのが特徴です。

奨学金は学生を支援する目的で貸与されているので、利息が低めに設定されているのがメリット。
第二種の奨学金の取り決めでは年3.0%が上限とされていますが、実際にはもっと低い利率で貸し出されています。

平成29年を例に見てみると、利率は0.33%(金利の決め方によっては0.01%)でした。

借りられる金額は、奨学金の種類や通う学校などの条件によって異なり、給付型の場合は家計の区分によって支給額が異なります。

学校 自宅から通う場合 自宅外から通う場合
大学・短大・専修学校(国公立) 第1区分:29,200円(33,300円)
第2区分:19,500円(22,200円)
第3区分:9,800円(11,100円)
第1区分:66,700円
第2区分:44,500円
第3区分:22,300円
大学・短大・専修学校(私立) 第1区分:38,300円(42,500円)
第2区分:25,600円(28,400円)
第3区分:12,800円(14,200円)
第1区分:75,800円
第2区分:50,600円
第3区分:25,300円

※(  )は生活保護世帯の金額

第一種の月額借入額は、以下の通り。

学校 自宅から通う場合 自宅外から通う場合
大学(国公立) 2万円・3万円・4万5千円 2万円・3万円・4万円・5万1千円
大学(私立) 2万円・3万円・4万円・5万4千円 2万円・3万円・4万円・5万円・6万4千円
短期大学(国公立) 2万円・3万円・4万5千円 2万円・3万円・4万円・5万1千円
短期大学(私立) 2万円・3万円・4万円・5万3千円 2万円・3万円・4万円・5万円・6万円

第二種奨学金は次のように決められています。

  • 大学:2万円~12万円(1万円刻み)
  • 短期大学:2万円~12万円(1万円刻み)

また、日本学生支援機構には保証制度が2種類あり、どちらかを選択します。

機関保証制度 公益財団法人日本国際教育支援協会が保証
保証料の支払いが必要
人的保証制度 日本学生支援機構が定める条件を満たす人に奨学生が保証人を依頼
連帯保証人と保証人を立てる

保証料はかかりますが、保証人を立てずに済む方法もあります。

公益財団法人日本教育公務員弘済会の奨学金制度

公益財団法人日本教育公務員弘済会の奨学金制度
公益財団法人日本教育公務員弘済会の奨学金制度の内容は、以下の通りです。

貸与金額 修業期間1年につき25万円
※最高で100万円まで
利子 無利子
返還 卒業までは返済不要
学校卒業の年の12月から数えて5年~7年で返済

日本教育公務員弘済会の奨学金は、次の条件を満たす人が利用できます。

  • 大学院・大学・短大・専門学校に在学または入学予定
  • 申請年度の4月1日時点に30歳未満で未婚
  • 学資金の支払いが困難だと認められる

申し込むには連帯保証人が必要で、借入できる金額は最高で100万円と低めの設定。学費が少しだけ足りない人は、利用を検討してもよいでしょう。

公益財団法人みずほ育英会の奨学金制度

公益財団法人みずほ育英会の奨学金制度の内容は、以下の通りです。

貸与金額 大学生:月額5万円
大学院生:月額6万円
利子 無利子
返還 卒業までは返済不要
貸与修了6ヶ月後より20年以内に返済

公益財団法人みずほ育英会の奨学金は、次の条件を満たす人が利用できます。

  • 日本国民で資質・学業成績優秀で健康な学生
  • 在学している大学に推薦される
  • 経済的理由で学費の援助が必要
  • 日本学生支援機構以外の団体から奨学金を受けていない

こちらも申し込むには連帯保証人が必要で、JASSO以外の団体から奨学金を受けていないことが条件となります。

みずほフィナンシャルグループが母体の団体なので、学業成績が優秀で大学から推薦があった学生のみが対象です。

公益財団法人吉原育英会の奨学金制度

公益財団法人吉原育英会の奨学金制度
保護者が青森県に住んでいる人が利用できる公益財団法人吉原育英会の奨学金制度には、返還しなくていい給付型と返還が必要な無利息貸与型があります。

給付型は大学または高専に在学中の人が利用可能です。無利息貸与型は、以下の学校に通っている人が利用できます。

  • 高校
  • 高専
  • 短大
  • 専門学校
  • 大学

制度の内容は以下の通りです。

貸与金額 給付型:月額2万円
貸与型:2万円または4万円(学年や学校の種類による)
利子 無利子
返還 給付型:不要
無利息貸与型:貸与終了翌月から1年後より返還
貸与期間×3の年数内で返還

次の条件を満たす人が利用できます。

  • 保護者が青森県の住民である
  • 5段階評価で3以上(3段階の場合は置き換えて計算)
  • 保護者の税込み年収が900万円未満(給与所得以外なら400万円未満)

保護者が青森県に住んでいなければいけないなど、条件は限定されますが、該当する場合年収の上限が比較的ゆるめに設定されている奨学金です。

あしなが育英会の奨学金制度

あしなが育英会の奨学金制度
公益財団法人あしなが育英会の奨学金制度は、親が病気や交通事故以外の災害などによって亡くなった人や、親が著しい障害を負っている人を対象としています。

月に貸与できる金額の中に、返済が求められる貸与分と返済しなくてもいい給付分があります。

制度の内容は以下の通りです。

貸与金額 高校・高専:国公立4万5千円、私立5万円(うち2万円は給付)
大学・短大:一般7万円、特別8万円(うち3万円は給付)
専修・各種学校:7万円(うち3万円は給付)
利子 無利子
返還 卒業までは返済不要
20年間で返済

あしなが育英会の奨学金制度は、次の条件を満たす人が利用できます。

  • 親が特定の理由で死亡または著しい障害を負っている人
  • 1995年4月2日以降に生まれた人

申し込むには連帯保証人が必要ですが、親に事情があるとわかったうえでの奨学金なので、返済が苦しくなった時は返済を待つなどの対応をしてもらえます。

さらに私立学校に入学する時などに、一時金を貸与してもらえる制度もあります。

公益財団法人味の素育英会の奨学金制度

公益財団法人味の素育英会の奨学金制度

公益財団法人味の素育英会の奨学金制度は、大学の専門課程または大学院で理系の科目を専攻している学生を対象としています。

制度の内容は以下の通りです。

貸与金額 大学で学費出資者と同居:月額3万円
大学で学費出資者と別居:月額3万5千円
利子 無利子
返還 卒業までは返済不要
貸与終了から6ヶ月経過後より貸与期間の5倍以内に返済

公益財団法人味の素育英会の奨学金制度は、次の条件を満たす人が利用できます。

  • 大学3・4年生または大学院生で理系の学科を専攻する学生
  • 成績がとても良い
  • 体が丈夫で健康
  • しっかりとした意志を持っている

他の団体よりも抽象的な条件が多いですが、審査基準は他とさほど変わりません。

味の素が母体となっているため、理系学科の学生のみが対象となっています。

公益財団法人日本通運育英会の奨学金制度

公益財団法人日本通運育英会の奨学金制度
公益財団法人日本通運育英会の奨学金制度の内容は、以下の通りです。

貸与金額 大学:3万円
短大:2万円
高専:1万5千円
利子 無利子
返還 卒業後6ヶ月までは返済不要
貸与期間の2倍以内の期間で返済

公益財団法人日本通運育英会の奨学金制度は、次の条件を満たす人が利用できます。

  • 大学新1年生・新2年生・短大生・高専の生徒である
  • 成績が良く行いもきちんとしている
  • 経済的理由で修学が困難である

大学1、2年生と短大、高専生のみが利用できる奨学金です。
卒業後6ヶ月まで返済を待ってもらえるため、就職後すぐに返済する必要がないのがメリットとなっています。

日本学生支援機構では奨学金制度の検索も可能

日本学生支援機構では、奨学金制度の検索も可能です。

参考:独立行政法人日本学生支援機構│大学・地方公共団体等が行う奨学金制度

2020年11月現在で以下の情報が掲載されているので、自分に合った奨学金探しに役立てましょう。

  • 大学464校
  • 短期大学165校
  • 地方公共団体や奨学金事業実施団体など752団体

奨学金を借りるには?借入の条件やしくみについて

奨学金とは学びたいのに経済的な問題で就学できない学生にお金を貸す制度です。さまざまな機関が奨学金制度を設けていて、内容がそれぞれ異なります。

奨学金を借りるのは、親ではなく修学する学生本人で、奨学金の返還義務も学生本人にあります。

機関によって条件や金額が異なるため、そのためどのような制度があるのか知っておき、上手に活用しなければいけません。

奨学金とはどのようなものか、種類と概要を見ていきましょう。

奨学金は国や公益財団法人から学費を借りられる制度

奨学金は国や公益財団法人などが提供する、学費支援制度です。つまり国から学費を借りる制度という位置づけになります。

奨学金は国や自治体が取り扱う「公的奨学金」と、大学や財団法人が取り扱う「民間奨学金」の2種類。

奨学金の種類 奨学金の提供元の例
公的奨学金 日本学生支援機構・国・地方公共団体など
民間奨学金 学校・企業・公益財団法人・個人など

最も多く借入されている奨学金が、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金。日本学生支援機構は独立行政法人なので、公的奨学金に分類されます。

日本学生支援機構の説明によると、奨学金は次の意味を持つものです。

経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度です。
引用元:独立行政法人日本学生支援機構│JASSOの奨学金とは

奨学金とはどのような制度か、以下の3つの特徴からみていきましょう。

  • 経済的理由で修学が困難な学生を支援する制度
  • 優れた学生に対する制度(基準がある)
  • 「貸与」と「給付」がある
経済的理由で修学が困難な学生を支援する制度

奨学金は誰でも利用できるものではなく、経済的理由で修学が困難な学生を対象とした制度です。

家庭の経済状況も、奨学金を受けられるかどうかの判断基準の一つとなります。

日本学生支援機構の家計基準をもとにすると、仮に借り入れる学生本人が国公立大学に在学し、生計維持者が給与所得世帯の場合、基準となる年収は以下となっています。

国公立大学に在学し生計維持者が給与所得世帯の場合(注1)(年間の給与収入)
世帯
人数
第一種奨学金 第二種奨学金 第一種・第二種
併用
・平成30年度入学者の最高月額以外の対象
・平成29年度以前入学者が対象
・平成30年度以降入学者の最高月額の対象
2人 自宅 782 712 1,039 712
自宅外 829 779 1,086 779
3人 自宅 662 603 1,012 603
自宅外 729 670 1,059 670
4人 自宅 742 680 1,096 680
自宅外 800 747 1,143 747
5人 自宅 936 898 1,314 898
自宅外 1,030 992 1,408 992

引用:大学での申込資格・申込基準 – JASSO

申し込む種別にもよりますが、上記の年収を超える世帯の場合、奨学金の借入が難しくなります。

誰でも借りられるわけでなく、あくまでも経済的に困窮している世帯のための制度であると知っておきましょう。

人物に関する基準も設けられている

日本学生支援機構の説明によると、奨学金は優れた学生を対象とした制度です。

学力や学びたい意欲があるのに家庭の経済状況で学べないことが前提で、人物に関する基準も設けられています。

日本学生支援機構の場合は次のような流れで審査を行い、奨学金を貸与するかどうか決定しています。

奨学金の申込条件を説明する画像

奨学金にはさまざまな種類があり、選ぶ奨学金によっては経済状況や人物に関する条件以外にも、次のような条件がつく場合があります。

  • 進学先の学校
  • 年齢
  • 専攻科目
  • 居住地域

学校独自の奨学金ならその学校に進学した人のみが対象になる、奨学金によっては特定の地域に住んでいる人しか利用できないなど、対象者が限られているものも。

奨学金の借り方にも種類がある

奨学金には大きく分けて2つの借り方があります。

奨学金の基準
引用:進学マネー・ハンドブック

貸与型 返済義務がある(無利子または低金利)
給付型 返済義務がない

貸与型の奨学金にも、一定の条件を満たせば返済が免除されるものがあります。

奨学金を借りる条件をチェック!借りられるのはどんな人?

奨学金は誰でも申し込めるわけではなく、申し込み基準が設定されています。日本学生支援機構によると、給付型の奨学金の方が貸与型の奨学金よりも審査基準が厳しい傾向にあります。

日本学生支援機構の奨学金の選考基準を例に、基準の決め方を見てみましょう(2020年11月現在)。

家計に関する選考基準の例(日本学生支援機構の場合)

奨学金は経済的に苦しい学生に向けての制度なので、家計に関する選考基準があります。日本学生支援機構の場合、目安は以下の通りです。

奨学金の種類 家計に関する資格
給付型の奨学金 年収の目安:2人・3人世帯で373万円以下、4人世帯で378万円以下
かつ資産が2,000万円未満
貸与型:第一種(無利子) 年収の目安:3人世帯で657万円、4人世帯で747万円以下
貸与型:第二種(利子あり) 年収の目安:3人世帯で1,009万円、4人世帯で1,100万円以下

家計に関する資格は複雑ですが、進学資金シミュレーターを活用するとおおよその確認ができます。

参考:独立行政法人日本学生支援機構│進学資金シミュレーター

人物に関する選考基準の例(日本学生支援機構の場合)

人物に関する選考基準も見てみましょう。今回は大学進学予定の高校生の基準を例として、ご紹介しています。

奨学金の種類 人物に関する資格
給付型の奨学金 高校での評定平均値が3.5以上
面談やレポート提出で学習意欲などを確認
貸与型:第一種(無利子) 高校での評定平均値が3.5以上
学校長の推薦が得られる
貸与型:第二種(利子あり) 高校での成績が平均水準以上

成績に関する基準も設けられているとわかりますね。

奨学金によって基準はさまざまなので、申し込みたい奨学金の案内を確認してから申し込みましょう。

日本学生支援機構の選考基準には成績や人物、家計に関する内容がありますが、あしなが育英会の奨学金の利用条件には親が死亡しているなどの条件があります。
また特殊な事例でいくと、吉原育英会の奨学金は、保護者が青森県に住んでいることも条件の一つです。

奨学金ごとに基準が設けられているので、自分が借りられるかどうかまずは条件をチェックしてから申し込みましょう。

奨学金を借りるための手続き・申し込み方法を画像で解説

奨学金を借りるためには、申し込みが必要です。

実際に申し込もうと思ったときに慌てないように、奨学金を借りるための手続きや申し込み方法を確認しておきましょう。

奨学金を借りるまでの流れは?

奨学金を借りるまでのスケジュールについて、日本学生支援機構の奨学金を例に見てみましょう。

奨学金を借りる流れを解説する画像

奨学金を受けるためには、まず自分が借りられるかを確認する必要があります。
自分が受けたい奨学金の要項をチェックし、該当するかを確認してみましょう。

また学生本人だけでなく、学校側での手続きが必要なものも。親の所得証明書も必要となるため、奨学金を借りると決まったら早めに用意しておくのがコツです。

奨学金には大学進学前に申し込む「予約採用」と進学後に申し込む「在学採用」がある

奨学金の申し込み時期には、進学前に申し込む「予約採用」と進学してから申し込む「在学採用」があります。

日本学生支援機構の奨学金の場合を例に、流れを見てみましょう。

予約採用の手続きの流れ

予約採用の場合は次の流れで手続きを行います。

  1. 申し込み・書類の提出
  2. 推薦・選考
  3. 採用候補者決定通知の交付
  4. 進学
  5. 進学届を提出
  6. 採用の決定と通知
  7. 返還誓約書を提出
  8. 奨学金の振込開始
在学採用の手続きの流れ

在学採用の流れは、次の通りです。

  1. 申し込み・書類の提出
  2. 学校内で推薦者の選考・機構での選考
  3. 学校へ採用者が通知される
  4. 説明会に参加し返還誓約書を提出
  5. 奨学金の振込開始

どの時期に奨学金の申し込みをするかによって、手続きの流れが変わるため、初月から学費を借りる予定がある人は予約採用の手続きを早めに行いましょう。

奨学金を借りるための必要書類をチェック

奨学金を借りるためには、求められる書類の提出が必要です。必要書類は利用したい奨学金によって異なります。

必要書類の例を見てみましょう。

日本学生支援機構の奨学金の場合

日本学生支援機構の奨学金では、以下の書類が求められます。

  • 給付奨学金確認書/貸与奨学金確認書
  • マイナンバー提出書
  • スカラネット入力下書き用紙
  • 所得証明書

このほか該当者のみが提出を求められる書類もあります。「申し込みのてびき」をもらったら必要書類をまとめて用意しておきましょう。

公益財団法人味の素育英会の奨学金の場合

味の素育英会の奨学金では、以下の書類が求められます。

  • 奨学金貸与申請書
  • 人物考査書及び推薦書
  • 学部・大学の成績証明書

申請書の他にも学部や大学で成績を証明できる書類の発行が必要です。

奨学金を借りるのに必要な保証人とは?不要な場合はどんなとき?

奨学金には、保証人が必要な場合とそうでない場合があります。

たとえば日本学生支援機構では、以下の2つから保証制度を選べます。

  • 機関保証制度
  • 人的保証制度

機関保証制度を選んだ場合は一定の保証料の負担が必要ですが、万が一返済ができなくなった場合は保証機関が代わりに支払いをするので、保証人を立てる必要がありません。

代わりに支払ってもらっても返済の義務がなくなるわけではなく、その後は保証機関に対して支払いを続けます。

人的保証制度を選んだ場合は、連帯保証人と保証人を立てる必要があります。

連帯保証人 学生と連帯し返済の責任を負う
原則として父母
保証人 学生も連帯保証人も支払いができない時に返済をする
原則としておじ・おば・兄弟姉妹

利用する奨学金によっては、保証人を立てなくてもいい場合があります。借りる予定の奨学金の取り決めをきちんと確認して、必要であれば保証人をお願いしましょう。

奨学金は基本的に大学を卒業してから返済が開始する

奨学金は基本的に大学を卒業してから返済が開始します。

奨学金によって返済の取り決めはさまざまですが、期間を定めてその範囲内での返済を求めるケースが多く見られます。

日本学生支援機構を例に返済までの流れを見てみましょう。

  1. 在学中に返還のてびきを受け取る
  2. 返還説明会に参加
  3. 金融機関で「振替口座(リレー口座)」加入申し込み手続きをする
  4. 卒業したら「振替口座(リレー口座)」から返還が始まる

日本学生支援機構では、返還方式の選択も可能です。

所得連動返還方式 前年の所得に応じた月額で返済
所得額に応じた返済なので無理がない
所得によって返済期間が長くなったり短くなったりする
定額返還方式 借りた金額に応じた金額で返済
返済額と返済期間が変動しない

所得連動返還方式を選ぶ場合は保証人を付けるのではなく、機関保証制度を利用する必要があります。

奨学金を借りている人の割合はどのくらい?半数の学生が借りているデータもあり

独立行政法人日本学生支援機構によると、奨学金を借りている人の割合は以下の通りです。

大学(昼間部) 47.5%
短期大学(昼間部) 55.2%

大学・短大の昼間部に限ると、50%程度の学生が奨学金を利用しています。

また学生全体で見ると約38%で、学生の2.7人に1人が奨学金を利用しているという統計もあります。

いまや全学生の半分が奨学金を利用して大学や専門学校に通っている時代です。学費がないから進学できないと諦めず、奨学金を借りる選択肢を取ってみるのも一つの手だといえます。

参考:独立行政法人日本学生支援機構│平成30年度学生生活調査報告
参考:独立行政法人日本学生支援機構│高校教員向け「進学マネー・ハンドブック」(平成30年度版)

奨学金の借入額はいくら?平均を調査してみた

学生は実際にどれくらいの奨学金を借りているのでしょうか。労働者福祉中央協議会が行った、奨学金に関する調査結果を見てみましょう。

奨学金の借入額のグラフ

引用:「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」調査結果の要約

奨学金の借入平均額は324.3万円で、500万円以上の借入をしている人も12.4%います。

奨学金を借りたがゆえに返済できず、社会人になっても返済をし続けなければいけないデメリットも。社会問題にもなっているため、安易に借りるのではなく、計画的に借入することが大切です。

奨学金を借りるメリットは?金利をおさえて学費を借りられる

奨学金には以下のようにさまざまなメリットがあります。

  • 低金利で大学に必要な費用が借りられる
  • 返済は大学卒業後なのでゆとりをもって返済できる
  • 学業に秀でていなくても利用可能
  • 低金利で借入可能

低金利で大学進学に必要な費用を借りられる

奨学金の金利は無利子か、有利子でも低めの設定なので、大学進学に必要な費用を借りやすく安心して勉強に取り組めます。

通常お金を借りると借りている期間中ずっと利息が発生し続けますが、奨学金の場合は在学中無利子で借入可能です。

年(365日あたり)3%を上限とする利子付です。なお、在学中は無利子です。
引用:独立行政法人日本学生支援機構│第二種(利子が付くタイプ) 2.利子

たとえば4年間で300万円借入をしている場合、在学期間中も利息がつくと金利が3.0%の場合で利息の金額は187,296円です。

これだけの利息を支払わなくていいので、返済負担が軽減されます。

原則として返済は卒業してからでOK

奨学金の返済は、原則として卒業してから始まります。在学中に返済がないので、次の点で便利です。

  • アルバイトなどに時間を取られず勉学に集中できる
  • 収入を得るようになって返済できるので返済しやすい
  • 在学中は利息も発生しない

学業に集中できないと成績が上がらず、奨学金を受けられる基準が満たせなくなる可能性もあります。集中して勉強できる環境があるので、引き続き奨学金を受けやすくなります。

借入先によっては返済できない時の救済制度も

借入先によっては返済が難しくなった場合に備えて救済制度を設けている場合もあるので、どうしても返済が難しくなった場合は相談してみましょう。

救済制度が利用できれば、延滞が避けられる可能性もあります。

たとえば日本学生支援機構では、2種類の救済制度を設けています。

減額返還制度 月々の返還金額を減額
返済額を2分の1または3分の1に減らせる
返還期限猶予制度 一定期間返済を猶予
返済額はこれまで通り

返済総額は変わらないので、利息がつく第二種の奨学金を受けている人でも安心です。

延滞すると申請できなくなるので、返済が難しいと思ったらすぐに相談しましょう。

学業に秀でていなくても奨学金を借りられる

奨学金は基本的には人物・学業・経済状況など、基準を設けて給付もしくは貸与をするものです。

そのため選ぶ奨学金によっては学業に秀でている必要がありますが、学業に秀でていなくても意欲があれば借りられるものもあります。

日本学生支援機構では2020年4月に進学・進級する学生から、給付奨学金の対象者を広げています。

経済的理由で大学・専門学校への進学をあきらめないよう、2020年4月に進学・進級する学生から、給付奨学金の対象者が広がります。
世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。
また、給付型奨学金の対象となれば、大学・専門学校等の授業料・入学金も免除又は減額されます。
引用元:独立行政法人日本学生支援機構│奨学金の制度(給付型)

学びたい気持ちを尊重してくれる奨学金もあるので、成績に自信がなくても諦めないようにしましょう。

奨学金の金利は借金としてはかなり低い

奨学金の金利は借金としてはとても低い設定です。

いくつかの商品を例に、比較してみましょう。金利に幅がある商品に借入の申し込みをする場合、金利は高い方が適用される場合がほとんどなので、上限の金利で比較しています。

借入先 金利(年利)
日本学生支援機構 第一種:無利子
第二種:年3.0%が上限※在学中は無利子
プロミス(消費者金融) 17.8%(新規契約の場合)
アイフル(消費者金融) 18.0%
三井住友銀行 カードローン 14.5%
三井住友銀行 教育ローン 3.475%
みずほ銀行 カードローン 14.0%
みずほ銀行 教育ローン 変動金利:3.475%
固定金利:4.1%

カードローンよりは教育ローンの方が金利が低いですが、それでも奨学金の方がさらに金利が低いとわかります。

アイフルの上限金利18.0%と奨学金の上限金利3.0%で、月額5万円を1年間、合計60万円借りた場合の利息を比較してみると一目瞭然。

1年間で60万円全額返済する場合と、5年間かけて返済をする場合を例に利息を調べてみました。

金利が18.0% 1年で返済:60,084円
5年で返済:314,160円
金利が3.0%の場合 1年で返済:9,792円
5年で返済:46,860円

利息だけでみると、25万円以上の差に。奨学金は無理なく長期にわたって返済していくものなので、金利が高いと負担が大きくなります。

奨学金が無利子または低金利で借りられるのは、大きなメリットです。

奨学金の金利の決め方が選べる場合も

奨学金の中には金利の決め方が選べるものもあります。日本学生支援機構の奨学金では、次の2種類の方法から金利の決め方を選べます。

利率固定方式 奨学金の貸与が終了したときに決まった利率を返還終了まで適用
市場金利に利率が影響されない
利率見直し方式 おおむね5年ごとに利率を見直す
市場金利が上昇すると利率が上がる
市場金利が下降すると利率が下がる

どちらの方法を選んでも、利率は年3.0%を超えないように調整されます。

最初に立てた返済計画通りに返済したい場合は、利率固定方式が便利です。

奨学金を借りる前に押さえておきたい注意点

奨学金を借りる前に、押さえておきたい注意点が4つあります。

  • 入学金としては使えない
  • 途中で打ち切られる可能性もある
  • 返済が長期間にわたる
  • 延滞するとさまざまな問題が発生する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

入学金のためのお金を借りるのは難しい

奨学金は入学してから振り込まれるものなので、入学金としての利用はできません

文部科学省によると、2019年度の国公立大学(昼間部)の入学金の平均は地域内で229,365円、地域外で392,391円。私立大学の場合は2018年のデータで249,985円、私立短大で241,836円です。

参考:文部科学省│2019年度学生納付金調査結果
参考:文部科学省│私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

入学金が用意できない場合、次のような対策法を考えないといけません。

  • 進学先に入学金の免除制度があれば利用
  • 国の教育ローンの利用
  • 日本学生支援機構の入学時特別増額貸与奨学金を利用
  • 労働金庫の入学時必要資金融資を利用
  • 生活福祉資金貸付制度を利用
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用
  • 一般金融機関の教育ローンの借入

中でもおすすめなのが進学先の制度を利用する方法と、国の教育ローンの利用です。

進学先に制度がある場合は利用するのがおすすめ

進学先によっては、次の制度を設けている場合があります。

  • 入学金の免除制度
  • 入学金の減額制度

制度がない学校では利用できない点がデメリットですが、制度がある学校なら不安な入学金の問題を解決できるのでおすすめです。

利用条件に合う場合は国の教育ローンがおすすめ

利用条件に合う場合は、日本政策金融公庫の教育一般貸付(国の教育ローン)の利用を検討しましょう。

一般的な教育ローンよりも金利が低いので、少ない負担で借入ができます。

奨学金と国の教育ローンとの主な違いは、以下の通りです。

種類 奨学金 国の教育ローン
借りる人 学生
利子 無利子または低利子
※在学中は無利子
年1.68%
※在学中も利子が付く
基準 学生の学力など
親の収入
親の収入
借入時期 予約採用:高3の春
在学採用:春または秋
いつでも受付可能
※目安は資金が必要な時期の2~3か月前
返済時期 卒業後 借入月の翌月から
※翌々月の場合も
お金の借り方 毎月定額を受け取る
※入学後から
必要な金額をまとめて借入
申し込み場所 在学している学校 窓口
インターネット

融資の対象となる学校は幅広く、修業年限が原則として6ヶ月以上※、中学校卒業以上の人が対象の教育施設に在学中または入学予定の人が利用可能です。
※外国の教育施設なら3ヶ月以上

日本学生支援機構の奨学金と同じく国の制度なので、一般金融機関の教育ローンよりも有利な条件で借入可能。

国の教育ローンは日本学生支援機構の奨学金との併用も可能なので、両方利用すればより可能性が広がります。ただし親も子も返済しなければいけないので、その点は注意しましょう。

国からお金を借りる方法については「国からお金を借りる方法14選!個人が利用できる公的融資制度を条件別で一挙紹介」でも紹介しています。

日本学生支援機構の入学時特別増額貸与奨学金

日本学生支援機構の入学時特別増額貸与奨学金は、次の場合に利用可能な奨学金です。

  • 日本学生支援機構の第一種または第二種の奨学金を申し込んでいる
  • 本人の年間の収入が120万円以下である

本人の年間の収入とは、アルバイトや定職に就いて得る給料・父母からの給付・奨学金などを合計した金額です。

本人の年間の収入が120万円以下でなくても、国の教育ローンが利用できなかった人は借入できる可能性があります。

日本政策金融公庫の「国の教育ローン」が利用できなかったことについて(申告)という名称の書類に以下の2つの書類のコピーを添えて提出すれば、借入が可能です。

  • 日本政策金融公庫の国の教育ローン借入申込書(お客さま控え)
  • 融資できない旨が記載されている日本政策金融公庫が発行した通知文

参考:日本政策金融公庫の「国の教育ローン」が利用できなかったことについて(申告)

奨学金が早く支給されるのではなく、増額して受け取る性質の奨学金です。

借りられる金額は10万円・20万円・30万円・40万円・50万円のいずれか。
受け取り方法が初回の奨学金とともに振り込み※なので、注意しましょう。
※提出時期によって2回目以降の振り込み時になる場合もある

労働金庫の入学時必要資金融資なら入学前に資金が借りられる

労働金庫では日本学生支援機構の奨学金を受ける学生を対象に、入学に必要な資金が交付されるまでの間融資する「入学時必要資金融資制度」を設けています。

入学時特別増額貸与奨学金(以下、増額奨学金とする)を予約した皆さまを対象に、ご希望であれば、増額奨学金交付までの間、ろうきんが入学時に必要な資金を、交付される増額奨学金の範囲内でご融資(最高50万円)することが可能です。(ただし、所定の審査があり、審査の結果によってはご希望にそえない場合がございます。
引用元:ろうきん│入学時必要資金融資のご案内

申し込めるのは以下の条件を満たしている人で、審査に通らなければ利用できません。

  • 日本学生支援機構の奨学金の対象になる学校に合格し進学する人
  • 日本学生支援機構の奨学金の振込先を労働金庫に指定できる人
  • 父母もしくは親権者の住所化勤務先が労働金庫の取り扱い地域内にある人

この資金の利用方法は以下の通り。

借りたお金の使い道 入学時に進学先に支払うための資金
(入学金・授業料)
※すでに支払ったものは対象外
融資金額 増額奨学金の範囲内
最高50万円
融資方法 労働金庫に開設した奨学金振込口座に入金
その後労働金庫が本人名義で進学先に振り込み
返済方法 増額支給された奨学金で返済
労働金庫の奨学金振込口座から引き落としで返済
連帯保証人 父母もしくは親権者
金利 年1.70%程度

入学前に資金を手にできなければ困る場合は、利用を検討しましょう。

生活福祉資金貸付制度の就学支度費も活用できる

市役所でお金借りる「生活福祉資金貸付制度」の就学支度費では、低所得世帯に属している人が高校や大学などに入学する際に必要な経費が借入できます。

借りられる金額は50万円以内で、無利子で借入可能です。

据置期間は卒業後6ヶ月以内で、返済は据置期間経過後20年以内です。

母子父子寡婦福祉資金貸付金の就学支度金を活用

母子父子寡婦福祉資金貸付金の就学支度金は、就学に必要な被服などの購入費として借入が可能です。

具体的には次のような目的で利用できるお金です。

高等学校、大学、高等専門学校、専修学校、大学院に就学させるために必要な資金であり、授業料以外で、入学前の3月までに必要な資金が対象です。
入学金、入学準備金、学校指定のもので購入に必要な資金(制服、ジャージ、靴など)
引用元:北見市│就学支度資金

学校の種別や通学方法などによって、いくらまで借りられるかが決まります。借りられる金額の上限は次の通りで、無利子です。

  • 国公立大学や短大など:380,000円まで
  • 私立大学や短大など:590,000円まで

据置期間は6ヶ月以内で返済は20年以内です。

奨学金は途中で打ち切られてしまうことがある

奨学金は基準を設けて給付または貸与しているお金なので、基準に合わないと判断されれば途中で打ち切られる場合もあります。

日本学生支援機構では適格認定が行われ、奨学金継続の可否が判定されています。

学業を続けていくために、奨学金が継続して必要か否かをあなた自身が判断して、引き続き奨学金の貸与を希望する方は、毎年1回「奨学金継続願」を提出します。提出は、郵送又はインターネット(下記に掲載している「奨学金継続願提出用フォーム」)により行ないます。
機構は提出された「奨学金継続願」の内容を、「奨学生の適格認定に関する施行細則」第3条により、以下の点について厳格に審査し、奨学金継続の可否を判定します。
引用元:独立行政法人日本学生支援機構│適格認定

日本学生支援機構の奨学金を受けている人は、年に1回次年度も奨学金が必要かどうかを自身で判断し、必要だと思えば「奨学金継続願」を提出する必要があります。

提出された「奨学金継続願」を元に、学校が厳格に審査を行ったうえで継続の可否を認定して、日本学生支援機構に報告します。その際に継続が認められなければ、処置を受けます。

奨学金の継続について説明した画像

引用:適格認定|日本学生支援機構

スカラネット・パーソナルとは、奨学金を受け取っている人がインターネット上で自分の奨学金に関する情報を閲覧できる情報システムです。

継続の可否を判断する際に学校でチェックされるのは、以下の項目です。

人物について 態度や行動が奨学生にふさわしい
奨学金の返済について自覚しているなど
学業について 修業年限で卒業・修了できる見込みがある
経済状況について 経済的に奨学金が必要である

上記の結果、日本学生支援機構では、以下の処置が行われる可能性があります。

日本学生支援機構で行われる処置の内容
処置の種類 処置の内容 対処法
廃止 奨学金が支給されなくなる 奨学金の返還手続きをする
「在学猶予願」を出せば返済期間が猶予される
停止 学校長が定める期間奨学金の交付が止まる
成績などが回復すれば交付が復活する可能性も
奨学生としての適性を回復させる
警告 奨学金は交付される
成績が回復しないと将来的に停止される可能性も
奨学生としての適性を回復させる

「奨学金継続願」を期限までに提出しない場合、継続の意思がないとみなされ奨学金が廃止されます。

どの奨学金も基準に合っていなければ停止される可能性あり

日本学生支援機構の奨学金に限らず、どの奨学金も基準に合わなくなったと判断されれば停止される可能性があります。

奨学金が受け取れなくなったら、学校に通い続けられなくなる可能性もあります。

奨学金を受け取っている人は、それにふさわしい行動を心がけましょう。

多くの学生が奨学金を返せないという問題も!返済計画が重要

奨学金の返済期間はかなり長期にわたるので、負担になる可能性があります。日本学生支援機構の奨学金を利用して定額返還方式で返済する場合を例に、返済期間がどれくらいになるか見てみましょう。

日本学生支援機構では、返済期間は次の式で計算されます。

借用金額÷割賦金の基礎額で出た数字(小数点以下切り捨て)を12倍

割賦金の基礎額は借用金額を元に定められていて、借入金額が20万円以下なら3万円、借入金額が20万1円以上40万円までなら4万円と借入金額によって変動します。

これを元にいくつかのパターンで試算してみましょう。

条件 割賦金の基礎額 計算と返済期間
月額2万円を2年間借りた場合
借入総額48万円
5万円 48÷5=9.6
9×12=108回(9年)
月額3万円を4年間借りた場合
借入総額144万円
11万円 144÷11=13.09
13×12=156回(13年)
月額5万円を4年間借りた場合
借入総額240万円
16万円 240÷16=15
15×12=180回(15年)

無理のない金額で返済できるように返済月額が設定されているため、返済期間が長くなります。
卒業後10~20年以上にわたって返済しなければいけない可能性があることも、念頭においておく必要があります。

延滞してしまうと家族の家や車がなくなる可能性がある

奨学金を延滞してしまうと、場合によっては家族の家や車がなくなるので注意が必要です。

延滞するとまずは文章と電話で督促を受けますが、それでも返済ができなければ次のような流れになります。

選んでいる保証の方法別に、流れをご紹介します。

機関保証を利用している場合の流れ

機関保証を利用している場合の流れは、以下の通りです。

  1. 一括返済の請求(未済額・利息・延滞金を全額返済するよう請求)
  2. 代位弁済請求(保証機関に代わりに返還するよう請求)
  3. 代位弁済が行われると保証機関からの督促が始まる
  4. それでも返還に応じなければ強制執行(給料や財産の差し押さえ)

強制執行が行われれば、給料・家・車などの財産が差し押さえられます。この場合は影響を受けるのは学生本人のみです。

人的保証を利用している場合の流れ

人的保証を利用している場合の流れは、以下の通り。

  1. 支払督促予告(未済額・利息・延滞金の全額返済を求め支払督促申立予告をする)
  2. 支払督促申立(支払督促予告で定めた期限を過ぎたら裁判所に支払督促を申立)
  3. 仮執行宣言付支払督促申立(返還がなければ仮執行宣言付支払督促申立をする)
  4. それでも応じなければ強制執行(給料や財産の差し押さえ)

借金は本来学生が背負うものですが、保証人がいる場合は保証人に請求が行きます。

借金を整理した場合に保証人に与える影響

奨学金は借金なので整理する方法もありますが、学生本人が借金を整理しても保証人の支払い義務が消えるわけではありません。

借金整理の主な方法と保証人に与える影響を確認しましょう。

方法 効果や保証人への影響
任意整理
交渉で利息や遅延損害金をカット
奨学金は低金利なので効果がほぼない
奨学金の場合借入先が応じない可能性が高い
支払えなかったお金は保証人に請求
個人再生
裁判所を通して借金を減額
元本の大幅なカットが可能
カットされた分が保証人に請求される
自己破産
裁判所を通して借金を帳消しにする
借金が全額なくなる
生活に必要な財産以外は差し押さえに
保証人に全額請求が行く

遅延損害金とは返済が遅れたことに対して支払う賠償金に当たるもので、奨学金の場合は延滞金などと呼ばれる場合もあります。

個人再生をすると本人の支払い義務は大幅に減りますが、保証人がいる場合はカットされた金額は保証人が支払わなければいけません。

いくらカットできるかは借金の金額によって決められています。

たとえば500万円の奨学金を借りている場合、個人再生をすれば学生本人の支払い義務は100万円程度になりますが、カットされた400万円は保証人に請求が行きます。

学生本人が自己破産をすれば、奨学金の返済義務はすべて保証人が負います。保証人が支払えればいいですが、無理な場合は保証人も自己破産するしかなくなる可能性もあります。

自己破産をすると生活に必要な財産以外は差し押さえられるので、家や車などを失います。

延滞しただけでも経済的信用を失う

返済が延滞した後支払いをしたとしても、経済的信用を失ってしまいます。

奨学金も借金の一種なので、延滞すると個人信用情報機関に情報が登録されます。

個人信用情報の取り扱いに関する同意書を提出していただいている方のうち、現在奨学金を返還されている方は、延滞3か月以上の場合に個人信用情報機関に個人情報が登録されます。
新たに返還を開始する方は、返還開始後6か月経過時点で延滞3か月以上の場合に登録されます。登録の判定は返還開始から6か月が経過してから、毎月行われます。
引用元:独立行政法人日本学生支援機構│個人信用情報機関に個人情報を登録する条件

個人信用情報機関には、次のような情報が登録されています。

  • 氏名・住所・生年月日
  • 電話番号
  • 勤務先など
  • 契約情報(貸与額・最終返還期日など)

これ以外に延滞や代位弁済、完済などの情報も登録されます。

返済ができなかった場合、その情報が個人信用情報機関に登録され、経済的に信用できない人だと判断され、次のような影響が出ます。

  • クレジットカードが新規発行されない
  • クレジットカードの利用が止められる
  • 様々なローンが組めなくなる

延滞はさまざまな面で悪影響なので、返済には十分注意が必要です。

奨学金を借りようとしている学生が知っておくべきことやアドバイス

奨学金を検討している学生は、奨学金の申し込みをする前に以下の内容を確認しておきましょう。

  • 将来のために必要な費用なので借りると決めたらためらわない
  • 最初は多めに借りておく方法も
  • 状況によっては減額や辞退も検討
  • 未来の自分からの投資だと考えて有意義に活用する

詳細を見ていきましょう。

大学進学に必要な費用

大学などの学校に進学するには、まとまった費用が必要です。

平成30年度の学生生活調査報告によると、年間の生活費の例は以下の通りです。

学校 学費
授業料・学校納付金・通学費など
生活費
食費・光熱費・住居費など
大学(昼間部) 1,208,800円 704,700円
大学(夜間部) 615,700円 783,000円
短期大学(昼間部) 1,089,800円 537,800円
短期大学(夜間部) 626,500円 625,900円

参考:独立行政法人日本学生支援機構│平成30年度学生生活調査報告

これだけの費用を賄うのは、かなりの負担です。奨学金も利用しながら学費や生活費を用意できれば、無理なく進学できます。

就きたい職業によっては、大学や短大への進学が欠かせない場合もあります。そのためには必要な費用を支払わなければいけないので、奨学金を借りると決めたらためらわずに利用しましょう。

はじめは借りられるだけ借りておくのも1つの手

はじめは借りられるだけ奨学金を借りておくもの、一つの方法です。お金がなければ学費や生活費を稼ぐためにアルバイトをしなければいけなくなり、学業に専念できません。

学ぶために進学したのに学業に専念できなくなると困りますし、成績が落ちると奨学生の資格を失う可能性もあります。

学業に専念できる状況を作るためにも、必要な奨学金を借りておくようにしましょう。

余裕があるときは早めに返済する方法も

奨学金を多く借りて余裕が出た場合、繰上返済の手続きをすれば早めに返済できる場合もあります。

繰上返済ができるかどうかは利用している奨学金にもよりますが、たとえば日本学生支援機構の奨学金は繰り上げ返済が可能です。

利息が発生する奨学金を繰上返済すると、繰り上げた期間分の利息が節約できます。

Q.第二種奨学金を返還中です。残額の一部又は全額を繰上げ返還した場合の利息は、どのようになりますか。
A.第二種奨学金を繰上返還した場合は、その繰上にあたる期間の利息はかかりません。そのため返還総額は当初の約束どおりに返還した場合よりも少ない額となります。
引用元:独立行政法人日本学生支援機構│返還に関するご質問

奨学金は借りっぱなしではなく減額や辞退も検討する

奨学金は一度借りたら借りっぱなしにしておくのではなく、学費や生活費が十分に支払える状態であれば減額や辞退も検討しましょう。

減額や辞退には次のようなメリットがあります。

  • 借入総額が減らせる
  • 将来的に返済負担を減らせる

お金が足りずに学業に影響が出ては困りますが、余っている場合は借入総額を減らすと将来的な返済負担も減らせます。

奨学金は未来の自分からの投資!借りるなら返済の意識を持っておくことが大切

奨学金は未来の自分が支払う予定のお金で今の自分が学業に集中し、将来生活できる力をつけるための制度です。

奨学金は未来の自分からの投資だと思って受け取れば学業にもより身が入りますし、返済しなければいけないという意識も高まります。

借りたからにはしっかり活かし、きちんと返す意識で制度を利用しましょう。

監修者情報
林裕二林裕二 2018年に2級FP技能士検定に合格後、AFP登録を行う。その後、FPライターとして金融系記事をメインに多くのサイトへ寄稿するとともに、大手金融サイトで記事監修も開始。現在も多くの金融サイトや大手出版社のメディアへ記事を寄稿。ファイナンシャルプランナーとして、読者に対して正しい情報を届けられるよう監修を行う。また、ファイナンシャルプランナーとしての専門知識に加え、ライターとして培ってきた知識を踏まえ、専門性の高い監修を行うことを心掛けている。