母子家庭でもお金を借りられる「母子寡婦福祉資金貸付金」ってどんな制度?

母子家庭がお金を借りれる「母子寡婦福祉資金貸付金」とは?

お金がない状況で困っている母子家庭は、「母子寡婦福祉資金貸付金」と呼ばれる国の制度を利用できます。
厚生労働省が取り扱う公的融資で、母子家庭のみ利用できる制度です。

条件を満たせば無利子で借りられるので、シングルマザーの人ならば必ず知っておきたい制度でもあります。

  • 低収入でお金がない
  • どこからもお金を借りられない

上記のような母子家庭の親御さんに、わかりやすく母子寡婦福祉資金貸付金で借りられるお金や条件、審査について解説します。

後半では母子寡婦福祉資金貸付金以外に、母子家庭でお金がない時の対処法も掲載しています。

母子寡婦福祉資金貸付金は母子家庭がお金を借りられる公的融資制度

母子手帳の写真

母子寡婦福祉資金貸付金(ぼしかふふくししきんかしつけきん)は、制度名のとおり母子家庭がお金を借りられる公的融資制度です。

母子父子寡婦福祉資金貸付金(ぼしふしかふふくししきんかしつけきん)とも呼ばれ、配偶者のいない母子家庭、父子家庭、寡婦が対象となります。

寡婦とは?
離婚や死別によって配偶者と別れた後も、再婚をしていない独身女性のこと。

母子寡婦福祉資金貸付金の特徴は3つ。

  • 無利子で借りられる(保証人がいる場合)
  • 保証人なしでも借りられる
  • 借りられる資金の数が多い
無利子で借りられる

母子寡婦福祉資金貸付金は、生活が苦しい母子家庭のための制度なため、利子がほとんどかかりません。
申し込む際、保証人を立てればなんと無利子で借りられます。利子(手数料)がかからないため、借りた金額をそのまま返済するだけで良いのです。

とはいえ母子家庭の場合、保証人を探すのが難しい人もいるでしょう。

保証人がいなくても借りられる

もちろん保証人なしでも母子寡婦福祉資金貸付金を借りられます。

保証人がいない場合は、年率1.0%の利子がかかります。

利子がかかるといっても、年率1.0%はどの方法よりも低金利です。仮に10万円借りて1年で返すとしたら、利子は1,000円のみ。
同じ条件で銀行からお金を借りると、利子だけで14,500円かかるので、どれだけ低金利かがわかるでしょう。
※銀行の金利を年率14.5%とした場合

借りられる資金の数が多い

母子寡婦福祉資金貸付金は、借りられる資金の種類が多いのも特徴です。

大きく分けて12種類の資金があり、生活費や子供の教育費はもちろん、事業を始めるための資金や子供の結婚資金まで豊富に揃っています。

その他の国から借りられるお金は、ほとんどが生活費や住居費のためのお金です。目的によっては借りられないものも多いため、いかに国が母子家庭に対して手厚い対策を行っているかがわかります。

公的融資の中でも非常に条件が良いので、お金に困っている母子家庭なら、ぜひとも利用したい制度ですよ!

こんな時に使える!母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りる用途

母子寡婦福祉資金貸付金は、次のような用途で資金を借りられます。資金によって限度額が異なるため、どんなお金を借りたいか考えながらみていきましょう。

資金名 資金内容 限度額 利率
修学資金 高校、大学、高専、専修学校、大学院の授業料、書籍代、交通費等に必要な資金 月額 48,000円~96,000円
※修学する学校によって異なる
無利子
修業資金 就職や事業に必要な知識や技能を習得するための資金 月額 68,000円 無利子
就職支度資金 就職に必要な服や通勤用の自動車等を購入する資金 100,000円
自動車購入:330,000円
親が借りる場合
保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
児童が借りる場合:無利子
医療介護資金 医療又は介護を受けるために必要な資金
※治療にかかる期間が1年以内のもの
【医療】 340,000円
【介護】 500,000円
保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
就学支度資金 入学に必要な服や用具の購入資金 63,100円~590,000円
※就学する学校によって異なる
無利子
事業開始資金 事業の開始に必要な設備、什器、機械等の購入資金 2,870,000円 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
事業継続資金 事業継続に必要な商品、材料等を購入する運転資金
※現在事業を営んでいる場合
1,440,000円 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
技能習得資金 就職や事業に必要な資格や技能を習得するための資金
※訪問介護員、パソコン、栄養士など
月額 68,000円
※運転免許の場合 一括460,000円
保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
生活資金 生活を安定・継続するための資金
※母子家庭になって7年未満の場合のみ
月額 105,000円~141,000円 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
住宅資金 住宅の建設やリフォーム、増築に必要な資金 1,500,000円~2,000,000円 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
転宅資金 引っ越しにかかる資金 260,000円 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
結婚資金 母子家庭の20歳以上の子が結婚するときに必要な資金 300,000円 保証人有:無利子
保証人無:年1.0%

※横にスクロールできます。
参考:母子父子寡婦福祉資金貸付 – 厚生労働省
※地域により限度額は異なる

母子寡婦福祉資金貸付金では、母子家庭の生活にかかわる、あらゆるお金を借りられます。

ただしあくまでも国が融資する制度なので、投資目的の資金や、借金返済のためにはお金を借りられません。

母子家庭が経済的に自立できるよう、支援するのが目的の資金であることを忘れないようにしてください。

母子寡婦福祉資金貸付金の9割は子供が学校に通うための修学資金

母子寡婦福祉資金貸付金はこれだけ資金の種類がありますが、貸付の9割は子供が学校に通うための修学資金となっています。
つまりほとんどが子供の教育費として借入されているわけです。

母子寡婦福祉資金貸付金の中で、教育にかかわるのが以下の資金です。

  • 修学資金
  • 就学支度資金
  • 就職支度資金

上記の資金は、親が借りるか子供が借りるか、どちらかを選べます。
親が借りる場合は、子供が連帯借受人となり、子供が借りる場合は親が連帯保証人となります。

大学以上の子供を持つ場合は、子供が借りるケースが一般的です。

平成30年度からは20歳未満の子供が扶養内にいれば、20歳以上の大学院生も対象となり、ますます母子家庭の子供がお金を借りやすくなりました。

奨学金や国の教育ローンも利子がかかるので、教育費を無利子で借りられるのは母子家庭だけの特権です。

また利子のみの支払いで良い据置期間が、いずれも学校卒業後6ヶ月に設定されています。
無利子で借りる場合、利子の支払いはないため、据置期間中は支払わなくても良いことになります。

お金のかかりやすい修学資金は、返済期限は20年間設定されているので、学校卒業後に少しずつ返済していくことも可能です。

仮に大学で限度額満額を借りたとすると、総額は460万8千円となります。20年かけて返していく場合、1ヶ月19,200円支払っていけば問題なく返済できる計算です。

母子家庭なら免許の取得費用を借りられる

母子寡婦福祉資金貸付金で特徴的なのが、技能習得資金です。子供ではなく、母子家庭の親が、就職や事業に必要な知識や資格を取得するための費用を借りられます。

技能習得資金では、なんと通勤に必要な自動車免許取得の資金を借りることも可能です。

運転免許の場合、一括で46万円借りられます。
合宿免許で平均20万円前後、教習所に通うと30万円前後と言われているので、十分まかなえる金額です。

その他、ホームヘルパーやパソコンの資格など、スクールに通うと月額6万8,000円まで借りられます。
ほとんどの資格が月額5万円ほどで通えるので、今後手に職を持ちたいと考えているシングルマザーにもおすすめの制度ですよ。

就職支度資金では通勤用に車の購入費を借りられる

母子寡婦福祉資金にある就職支度資金では、通勤用に車の購入費を借りられます。

就職支度資金は通常10万円が限度額となっていますが、自動車の購入では33万円まで借りられるのもメリット。
中古の軽自動車が買えるくらいの値段なので、通勤に車が必要な場合は積極的に利用しましょう。

母子家庭の場合、親の収入が低すぎると民間の車のローン審査に通らないことも考えられます。
車が必要ならば、母子寡婦福祉資金貸付金で借りられると覚えておきましょう。

あくまでも通勤に利用する車でなければ、お金を貸し付けてもらえません。
審査の際に、通勤に車が必要であると証明しなければいけない場合もあるので、通勤に利用しない場合は借入が難しいでしょう。

母子寡婦福祉資金貸付金を借りるには?借入の条件とシステム

母子寡婦福祉資金貸付金の申請書の写真

母子寡婦福祉資金貸付金を借りるには、以下の条件を満たしていないといけません。

  • 20歳未満の児童を扶養していること
  • 配偶者が死別もしくは離婚でいないこと

上記を満たしていれば、母子家庭・父子家庭問わず申し込みできます。

また東京都では20歳未満の子供を扶養していれば、20歳以上の子供も貸付の対象となりました。

母子寡婦福祉資金を借りる流れは以下のとおりです。

母子寡婦福祉資金貸付金を借りるまでの流れ
  1. 市役所で借入の相談をする
  2. 相談後、貸付が必要と判断されたら申請を行う
  3. 審査が行われる
  4. 資金が交付される

母子寡婦福祉資金貸付金を借りるには、まず市役所へ相談をしに行かなければなりません。担当者がお金を貸してもいいと判断したら、初めて申請を行えます。

母子寡婦福祉資金貸付金の申し込みに必要な書類一覧

申し込みには、多くの書類が必要なので、事前に準備しておくとスムーズな申請が可能です。

母子寡婦福祉資金貸付金の申し込みに必要な書類
  • 貸付申請書(市役所でもらえる書類)
  • 戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票
  • 印鑑登録証明書(保証人がいる場合は保証人の分も必要)
  • 連帯保証人の収入がわかる書類
  • 本人確認書類(免許証・マイナンバーカードなど)

※自治体により異なる

その他、子供の教育に関わる費用の場合、合格通知書や在籍証明書が必要になります。

母子寡婦福祉資金貸付金へ申請すると、役所にて審査が行われるため、借りるまでに1ヶ月ほど時間がかかります
即日はもちろんのこと、短期間での審査にも対応していないので、急ぎの場合は早めに申請しておきましょう。

母子寡婦福祉資金貸付金の審査は?落ちる原因と対策法

母子寡婦福祉資金貸付金を借りるためには、審査を受けなければいけません。申し込み時に提出した書類をもとに、経済状況や世帯状況を審査され、借りれるかどうかの審査が行われます。

母子寡婦福祉資金貸付金は国の税金を財源としている以上、誰でも借りられるわけではありません。
審査に落ちやすいケースをもとに、審査落ちの原因と対策を練っていきましょう。

民間の金融機関で借金がある

民間の金融機関ですでにお金を借りている場合、貸しても返済が難しいと判断されて審査落ちすることがあります。

国からの公的融資は、借金の返済を目的とした借入は受け入れてもらえません。

他社での借金があるならば、まず返済してから申請を行いましょう。

生活していけるだけの収入が十分にある

母子寡婦福祉資金貸付金の対象となるのは、経済的に困窮している母子(父子)家庭です。

母子家庭であっても、生活に支障がない場合は審査で落とされてしまう可能性があります。

あくまでも目安ですが、同じく公的融資の「生活福祉資金貸付制度」では、住民税非課税の世帯が借入対象です。
扶養している児童が1人いる世帯の場合、およそ年収100万円以下で住民税の非課税対象となります。

年収が100万円前後の人であれば、審査に通してもらえる可能性が高いでしょう。

また厚生労働省が提供している「母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況」では、母子家庭の平均年間就労収入が200万円となっています。

月給が16万円を下回る母子家庭は、経済的に困窮しているとみなされる可能性があります。

無収入の状態である

一方、無職でまったく収入がない状態では、お金を貸しても返済ができないため、審査に落とされる可能性が高いでしょう。

無収入で働けない状態にある場合は、役所の担当者から生活保護を提案されるかもしれません。

世帯収入が国の定める最低生活費よりも下回っている場合、生活保護を受給できます。

母子寡婦福祉資金は無利子で借りれるとはいえ、国からの融資です。条件がいい分、返済できないと違約金がかかるデメリットもあるため、最初から返済が難しいとわかっている場合は、生活保護を検討しましょう。

母子寡婦福祉資金貸付金を滞納すると違約金がある

母子寡婦福祉資金貸付金では、償還期限までに返済がない場合、違約金が発生してしまいます。

令和2年4月以降、滞納による延滞金は年5%から3%に改定されました。

とはいえ滞納した金額と、滞納した日数によって違約金は異なるため、滞納すればするほど違約金が上がっていく仕組みです。

違約金=滞納金額✕3%✕滞納日数÷365

仮に100万円を30日滞納したとすると、2,466円の違約金がかかる計算です。特に修学費用など金額が大きくなりがちな資金は、早めに返済を行いましょう。

母子寡婦福祉資金貸付金は据置期間があり、償還期間も長めに設定されています。無利子となれば、長期間かけて返済すればいいと思いがちですが、返済に遅れると違約金がかかるため注意しましょう。

母子寡婦福祉資金貸付金と他の制度は併用できる?

生活保護の申請書の写真

母子寡婦福祉資金貸付金を借りた場合、原則として他の制度と併用はできません。逆にいうと、以下のような制度をすでに利用している場合、母子寡婦福祉資金貸付金を借りられない可能性があります。

  • 各種奨学金
  • 生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度など、他の公的融資とも併用はできないので注意しましょう。

生活保護と母子寡婦福祉資金貸付金の併用は難しい

公的融資以外に、生活保護と母子寡婦福祉資金貸付金を併用するのも難しいでしょう。

そもそも生活保護の受給条件が「公的融資を利用していない人」となっているため、母子寡婦福祉資金貸付金を借りられたとしても、生活保護を打ち切られてしまう可能性の方が高いです。

返済していける見込みがあるならば、まず母子寡婦福祉資金貸付金の相談に行ってみましょう。
市役所の担当者に事情を話し、母子寡婦福祉資金貸付金の借入が難しい場合に生活保護へ申請する形を取ると、スムーズな申請を行えます。

母子家庭がローンでお金を借りるのは難しい?

カードローンの店舗の写真

母子家庭でもそれなりに収入がある人は、公的融資でなくローンでお金を借りられます。
母子家庭だからといってカードローンを利用できないわけでなく、収入さえあれば審査に通る確率が高いです。

銀行ローンは世帯年収を元に審査を行うことが多いため、母子家庭の場合は消費者金融などの貸金業者から借りる方がすんなりお金を借りられることも。
現に、パートで働く女性は銀行よりも貸金業から借りている割合が多いデータもあります。
参考:パートがお金を借りる方法と銀行よりも借りやすいカードローン一覧

今日中にお金を払う必要があるなら、消費者金融の利用がおすすめです。しかし、金利は母子寡婦福祉資金貸付金の10倍以上となります。
返済できないとさらに生活が困窮する原因となるため、返済計画を立てた上で利用しましょう。

ローンでお金を借りすぎると、いざ母子寡婦福祉資金貸付金を借りたいときに審査に通らなくなる可能性があります。
母子寡婦福祉資金貸付金へ申請するなら、カードローンを利用する前にしておくのが審査落ちしないコツです。

母子家庭でお金がない時使えるあらゆる手段

母子家庭でお金がない時は、母子家庭を対象にしている給付金や奨学金の利用も検討してみましょう。
母子家庭が利用できる手当や給付金をまとめました。

制度名 支給対象 支給額
児童扶養手当 母子家庭・父子家庭で18歳以下の児童を養護している世帯 月額4万3160円
2人目 1万190円
3人目以降 6,110円
高等職業訓練促進給付金事業 母子家庭・父子家庭の親で看護師や介護福祉士の
資格取得のため1年以上養成機関で修業する場合
月額10万円(住民税非課税世帯)
月額7万5千円(住民税課税世帯)
自立支援教育訓練給付金 母子家庭・父子家庭の親で児童扶養手当の支給を受けている
教育訓練が適職に就くために必要と認められる
最大80万円
ひとり親世帯臨時特別給付金 児童扶養手当を受給しているひとり親世帯等 1世帯5万円
第2子以降ひとりにつき3万円

※横にスクロールできます。

コロナでお金がない母子家庭は「ひとり親世帯臨時特別給付金」を利用できる

コロナウイルスによる失業や、学校の休校で生活が苦しくなっている母子家庭は、「ひとり親世帯臨時特別給付金」を利用できます。

通常は児童扶養手当を受給している母子父子家庭が対象となっていますが、新型コロナウイルスにより家計の状況が急変した家庭は、追加給付を受けられます。

厚生労働省が掲載しているひとり親世帯臨時特別給付金の「支給要件確認フローチャート」で受給できるかが確認できるため、まだ未確認の人は調べてみましょう。