生活保護とは、日本国憲法第25条に記載されている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に基づいて制定された公的制度です。
すべての国民が生活保護に申請できる権利を持っていて、生活に困っている人を国がサポートする制度を指します。
そうはいっても、生活保護費は計算がややこしく「結局いくらもらえるのか?」「自分は受給対象になるのか?」わからない人も多いのが現状。
そこで当サイトでは、生活保護費の計算式をどこよりもわかりやすく紹介!
具体的にもらえる金額から、生活保護を受給できるかどうか、受給までの流れをまとめました。
目次
生活保護を受けるには?受給するための申請条件は4つ
生活保護を受給できる条件は次の4つ。
- 家や車、財産といった利用可能な資産を保持していないこと
家や車、まとまったお金が手元にないと、それらを売却したり担保にしたりして、財産を得るのが難しいと判断されます。
生命保険や貯金など、担保にできるものがあると、まずはそれらの活用を促されるケースが多いです。
- なんらかの理由で働けない環境であること
病気や怪我により働けないと、収入を得るのが難しいと判断されます。身体的な病気だけでなく、精神的な病気も対象です。
- 国からの公的融資や公的制度を利用していないこと
国の制度でお金を借りていたり、国や自治体から補助を受けている人は、融資の内容によって生活保護が不要だと判断されます。
- 親や兄弟など、家族から援助を受けられない状況であること
親や兄弟などの家族から資金の援助をもらえる人は、生活保護の申請前に親族を頼るよう促されます。ただし本人に対して扶養の義務がある親族でも、縁を切っていたり暴力などが原因で遠方に住んでいるなどの事情があれば生活保護受給の対象となります。
働けない環境にあり収入が得られない、それによりお金借りるのも難しい人が利用できる制度です。
上記に当てはまっていて、かつ「世帯収入が最低生活費よりも少ない」場合のみ、生活保護の受給資格が与えられます。


最低生活費とは、厚生労働大臣によって定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な生活費」のこと。
簡単に要約すると「生きていくのに必要なお金」のことで、最低生活費を収入で賄えない人の生活費をサポートするのが生活保護の目的です。
生活保護受給者も10万円支給の対象|新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの影響で、国民を対象に支給が決まった10万円の特別定額給付金。
国民全員に一律で10万円が給付される制度なので、生活保護受給者も支給の対象となります。
通常、公的給付や融資を受けている人は生活保護を受けられませんが、特別定額給付金の場合は、コロナウイルスによる特例扱いとなるため給付金10万円をもらった上で、生活保護を受けられます。


コロナウイルスの影響で生活が困窮してしまった人は生活保護への申請を検討しましょう。
給付金の申請後でも、生活保護に申し込みできます。
生活保護費はいくら?内訳と最新の計算方法
生活保護費がいくらになるのかは、住所や世帯人数によって異なるため、最新の計算式をもとに試算する必要があります。
生活保護では、最低生活費がそのまま生活保護費となるケースが多いです。
計算の結果、最低生活費が13万円となった場合、13万円がそのまま生活保護費となる計算です。
ただし収入がある場合は、最低生活費から収入を差し引いた金額が生活保護費となります。
最低生活費13万円で収入が5万円あったとすると、生活保護費は8万円支給されます。
そこで重要になるのが最低生活費の計算です。
生活保護費は適当に計算しているわけでなく、国の基準できちんと計算されます。
計算する上で重要となるのが生活保護で支給される8つの扶助。
生活保護は大きく8種類の扶助に分かれていて、審査によって申請者に必要だと判断された費用のみ支給されます。
生活保護の種類 | 目的 |
---|---|
生活扶助 | 日常生活を送る上で必要な費用 |
住宅扶助 | 住居に住むための家賃 |
教育扶助 | 子供が義務教育を受けるのに必要な費用 |
医療扶助 | 生活に困窮している人が医療サービスを受けるための費用 |
介護扶助 | 生活に困窮している人が介護サービスを受けるための費用 |
出産扶助 | 出産にかかる入院費や衛生用品の費用 |
生業扶助 | 就職に必要な技能の習得にかかる費用 |
葬祭扶助 | 遺族が生活に困窮していて、かつ他に補助してくれる人がいない場合の葬式費用 |
これらの扶助を合計した金額が生活保護費となります。
この中でも生活保護費のメインとなるのが「生活扶助」です。
生活扶助は食費や電気代・水道代などの光熱費、洋服代のように、日常生活を送る上で欠かせない費用のこと。
いわば実際の生活費になる部分なので、国の生活保護費の30%が生活扶助となっています。
生活扶助は地域や年齢、世帯人数で人によってもらえる金額が違います。
どれくらいの差が出るのか、実際の支給例を元に見ていきましょう。
対象 | 生活扶助額 |
---|---|
東京都23区に在住の30歳男性(単身)の生活扶助額 | 77,730円 |
愛知県豊根村に在住の40歳女性(単身)の生活扶助額 | 66,280円 |
神奈川県横浜市に在住の42歳女性と中学生の子供(2人世帯)の生活扶助額 | 122,980円 |
島根県雲南市に在住の65歳男性と72歳女性(2人世帯)の生活扶助額 | 101,180円 |
静岡県沼津市に在住の41歳母と45歳父、小学生の子供(3人世帯)の生活扶助額 | 138,830円 |
※正式な金額は記載のものと異なる場合があります。
生活扶助の金額だけを見ると少なく感じるかもしれませんが、一般的には生活扶助額に加えて、住居費用となる「住宅扶助」を上乗せされます。
生活保護費がわかる自動計算ツール
生活保護費がどれくらいなのか知りたい人へ、簡単にわかる自動計算ツールを用意しました。
項目の入力のみで最新の令和元年(2019年)10月改定のデータから、生活保護費の概算額を自動計算します。
住んでいる都道府県・市町村と世帯構成、人数を入力して計算してみましょう。
正確な生活保護費は最寄りの役所で出してもらえます。
生活保護費がどれくらいなのか、目安の計算として使ってみてください。
生活保護費 :
内訳
生活扶助基準額 | |
障害者加算 | |
母子加算 | |
児童養育費 | |
住宅扶助基準額 |
生活保護費の計算方法は?やり方をまとめてみた
具体的に生活扶助の金額を出すための計算方法は以下のとおりとなっています。




この計算式に沿って順番に計算していけば、大体の費用感を把握できます。ただし非常にややこしくなっているので、正確な金額は福祉事務所できちんと出してもらうようにしましょう。
生活扶助の費用を計算するためにはまず、自身の基準額を知らなければなりません。
計算には基準額を3つ出す必要があります。


基準額を3つ出すのは、受給する年によって不公平になるのを防ぐため。
生活扶助の金額は地域や年齢、世帯人数によって不平等にならないよう、次のような基準を元に計算されます。
- 住んでいる地域
- 年齢
- 世帯人数
まず見るべきは自分が住んでいる地域です。
生活扶助の基準では、地域によって以下のように分けられています。
- 1級地-1.2
- 2級地-1.2
- 3級地-1.2
基準に地域を設けている理由は、地域によって物価や地価が異なるため。
物価や地価が高い都心と安い地方の支給額が同じでは、都心に住む人が不利になってしまいます。
まずは住んでいる地域の級地区分を確認してみましょう!
生活扶助の基準では、0歳~75歳以上で細かく分類されており、0歳児も対象となっています。
地域×年齢で基準額が決まるため、自分の級地と照らし合わせて金額を確認してみましょう。
年齢の基準額がわかったら、世帯人数に応じて「逓減率(ていげんりつ)」を掛けます。
逓減率が設定されているのは、世帯人数によって費用が増えすぎるのを防ぐため。
単身者が不利を被らないよう、世帯人数が増えるごとに1人あたりの支給額は少なくなります。
この金額に「生活扶助基準(第2類)」を足します。
第2類費は世帯で支出される費用なので、世帯人数を元に計算されます。
地域、年齢、世帯人数をもとに、基準となる金額が出ました。この基準額を下の計算式に当てはめていきます。


少し複雑な計算式になるため、名古屋市在住のAさんを例に見ていきます。
基準額1✕0.9
87,340円✕0.9=78,606円
基準額2
80,350円
Aさんは基準額2の方が多いため、基準額2の金額で計算していきます。
基準額1✕0.855
87,340円×0.855=74,676円
基準額3
79,310円
こちらは基準額3の方が多いため、基準額3の金額で計算を進めます。
さらにこの金額に「生活扶助本体に係る経過的加算」を加えます。
Aさんの場合110円が加算されるため、最終的な計算式は次のようになります。
(80,350円✕1/3)+{(79,310円+110円)✕2/3}
=26,783円+52,947円
=79,730円
この金額がAさんの生活扶助額です。
自身が障害者手帳を保持していたり、シングルマザー、また子供がいる世帯は、次のように加算されます。
条件 | 1級地 | 2級地 | 3級地 |
---|---|---|---|
身体障害者1・2級に該当する者 | 26,810円 | 24,940円 | 23,060円 |
身体障害者3級に該当する者 | 17,870円 | 16,620円 | 15,380円 |
条件 | 金額 |
---|---|
3歳以上18歳まで | 10,190円 |
3歳未満 | 11,820円 |
第3子以降の小学校修了前 | 11,820円 |
条件 | 1級地 | 2級地 | 3級地 |
---|---|---|---|
児童1人 | 20,300 | 18,800 | 17,500 |
児童2人 | 24,200 | 22,400 | 20,800 |
3人以上の場合の1人あたりの額 | 2,300 | 2,200 | 2,000 |
また上記以外に、寒冷地に住んでいる人には灯油代や暖房代を賄う「冬季加算」が期間限定で支給されます。
冬季加算の対象となっている地域例)
北海道・青森県・秋田県・岩手県・山形県・新潟県・石川県・福井県など
ここまでが生活保護の根幹となる「生活扶助」の金額です。
生活扶助にくわえ、
- アパートの賃貸代を補助する「住宅扶助」
- 義務教育の入学金・授業料を補助する「教育扶助」
- 病気や怪我をして病院へかかったときの「医療扶助」
- 自宅での介護にかかる費用を補助する「介護扶助」
- 出産にかかるお金を補助する「出産扶助」
など、必要なお金を合算した金額が生活保護の費用となります。
先ほど例に挙げたAさんが住宅扶助で53,700円支給されると、79,730円+53,700円=133,430円が最終的な生活保護費です。
生活保護費の目安がわかったところで、実際に受給するまでの流れを見ていきましょう。
生活保護を申請して受給するまでの流れ
生活保護を受けるための流れは以下のとおりです。
- 相談
- 申請
- 審査(調査)
- 受給開始
福祉事務所に相談をしてから、受給開始となるまで2週間~1ヶ月程度の期間がかかります。
生活保護を受けるためには、自分の住んでいる地域の福祉事務所で申請を行わなければいけません。
福祉事務所は全国1,250箇所にあり、基本的には区役所と同じ建物内にあります。
>>自分の地域の福祉事務所を確認する
住んでいる地域に福祉事務所がないときは、町村役場でも申請を受け付けてもらえます。
相談に行った当日にそのまま申請もできますが、申請前に事前相談に行くのが一般的です。


生活保護の申請には書類や証明書は特に必要ありません。
福祉事務所に設置してある申請書にその場で記入して申請を行うのが一般的です。


生活保護の申請書に記入する項目は次のような内容。
- 現在の住所
- 住所に住み始めた時期
- 家族構成(続柄、年齢、生年月日、学歴、職業、健康状態など)
- 世帯状況
- 生活保護を申請する理由
- 援助してくれる人の状況
家族の情報や申請理由はなかなかその場で思いつかないもの。申請前に情報を整理しておくのがおすすめです。
このほかに無収入を証明する「収入申告書」や、資産がないと証明する「資産申告書」があります。
福祉事務所によって必要書類は異なるため、あらかじめ本人確認書類や収入証明書類を持っていくと良いでしょう。


また申請には捺印が必要となります。当日の申請を希望するならば印鑑を持っていきましょう。
生活保護は本当に生活に困っている人を助ける制度なので、誰もが審査に通るわけではありません。
本当に困っていても職員に他の制度を進められたり、申請を断られるケースも少なくないようです。
生活保護の申請時に必要な書類はありませんが、申請を認めてもらうために以下のような書類を用意しておくと話が通りやすくなる可能性もあります。
- 離職票
- 雇用保険受給資格者証
- 預金通帳
- 病気の診断書
- 障害者手帳
- 通院記録
生活保護に申請すると、受給しても問題ないか調査が行われます。
調査方法は主に3つ。
- 家庭訪問
現在の生活状況の調査
働ける状況にあるかの調査
- 扶養義務者への連絡
扶養する義務がある親や兄弟に援助してもらえるかの確認
- 関係機関への照合
預貯金があるか、保険に入っているか、不動産や車は持っているかといった資産調査
他に受けている公的融資や制度はあるかの確認
この中で申請者の協力が必要なのは、福祉事務所の担当ケースワーカーによる家庭訪問です。
家庭訪問では申請者がどういう生活をしているか、他に人が出入りした形跡はないかをチェックされます。


家庭訪問というと身構えてしまうものですが、タンスや押入れなど隅々までチェックされることはありません。
家庭訪問は原則拒否できず、受給に必要なので受け入れるようにしましょう。
また他に援助してもらえる親族がいないかを確認するため、扶養義務者(親や兄弟など)に連絡されるケースも。
ただし暴力によって世帯を離れたなど、連絡によって害を及ぼす場合は連絡なしで審査を受けられます。
調査の結果、生活保護受給してもいいと判断されると「保護開始決定通知書」が郵送されます。
決定の通知は原則14日以内と決められており、どんなに遅くても30日以内には通知書が送られます。
受給が決定すると申請日までさかのぼった金額が口座に振り込まれます。


また住宅扶助や医療扶助も合わせて受ける人は、医療機関や大家さんへ直接支払われます。
生活保護を申請した後、決定するまでの生活費が足りない時は「臨時特例つなぎ資金貸付」と呼ばれる融資制度に申し込めます。
臨時なため限度額は10万円と少なめとなっており、生活保護費が支給された後に一括もしくは分割で返済する制度です。
福祉事務所の決定に対して納得がいかない場合は、不服申立てができ、再審査が可能です。
生活保護費の毎月の支給日はいつ?
生活保護費は毎月決まった支給日に振り込まれますが、支給日はいつか気になる人も多いでしょう。
支給日は自治体によって異なり、多くが2日や5日といった月の初めを支給する日時として設定しています。
大阪府東大阪市 毎月2日
新潟県柏崎市 毎月2日
静岡県湖西市 毎月5日
長崎県長崎市 毎月3日
福祉事務所が振込を行うため、支給日が土日祝日と重なる場合は金融機関の前営業日に支給されます。
原則として生活保護費の支給日をずらしてもらうことはできません。
お金がなくならないよう、次の支給日までに計画的に生活保護費を使用しましょう。
また初回支給額は申請が通った日から日割りで計算され、翌月の初回支給日に振り込まれます。
生活保護はもらえる?もらえない?受給条件でよくある質問
自分は生活保護をもらえるのかわからないと悩む人に向けて、多く寄せられる生活保護の疑問に回答しました。
条件や状況別に生活保護の受給資格があるのかみていきましょう。
収入がある人は生活保護を受けられる?
A.最低生活費から収入を差し引いた金額が支給されます。
現在働いている人でも、最低生活費より収入が下回っている状態ならば、最低生活費から収入を差し引いた分を生活保護費として受け取れます。
最低生活費が14万円、収入が8万円と仮定した場合、差し引いた6万円が生活保護費です。
収入は働いた給料以外にも、年金や資産(家・車)の売却金、各種保険金も収入としてみなされます。


どんな手段でもお金を手に入れた以上は収入とみなされ、申告しないと生活保護が打ち切られることもあるので注意が必要です。
家を持っている人は生活保護を受けられる?
A.持ち家に住んでいて売却が難しい場合は受給対象です。
現在持ち家に住んでいる人は、住居がなくなるとさらに生活に困窮してしまうため、家に住みながら生活保護を受けられます。
住んでいる家がある場合、住宅扶助からは対象外となるケースが多いです。
申請の段階では家の売却は促されませんが、土地や家に資産価値があると判断された場合、保護決定後の生活状況によっては、家を売却するよう言われることも。
持ち家や土地がある人は、家を担保にお金を借りる方法もあります。高齢者の場合、家に住み続けながらお金を借りられる制度もあるので、担保となる家があるならばぜひ参考にしてみてください。
車を持っている人は生活保護を受けられる?
A.やむを得ない理由で必要ならば、車を持っていても生活保護を受けられます。
車も家と同様に保護決定後の生活状況により、資産として見られた場合は売却を促されます。
ただし次のようにやむを得ない事情がある場合は、車を持ちながら生活保護を受けられることも。
- 住んでいる地域が田舎で、車がないと緊急時に対応できない
- 障害持ちなため車がないと移動できない
- 自営業で車がどうしても必要
車がないと生活できない人のみが対象となるため、生活保護費を貯めて車を買うことはできません。
年金と生活保護はダブルで満額受給できる?
現在年金を受給している人でも、年金の金額を差し引いて受給できます。
結論からいくと、年金と生活保護の同時受給は可能です。
年金以外で給料がある状態でも、収入が最低生活費に満たない場合は差し引いた分の生活保護費を受給できます。
最低生活費が10万円で年金が4万5千円とすると、5万5千円が生活保護費となる計算です。
年金受給者の場合、生活保護を受ける前に年金を担保にお金を借りる方法もおすすめ。現在受給中の人が対象ですので、参考にしてみてください。
現在住所がない人でも生活保護を申請していい?
A.住所がなくても生活保護を受けられます。
住んでいる家がないホームレス状態の人は、申請先の福祉事務所を現在地として申請可能です。
ネットカフェや路上で生活していても、最寄りの福祉事務所で申請を行えば同じように調査を行ってもらえます。
現在借金を抱えている人は生活保護を受けられる?
A.受けられますが借金の返済には充てられません。
借金がある人でも条件を満たしていれば生活保護を受けられます。
ただし借金を返済するために生活保護を受給するのは認められません。
生活保護は生活に困っている人をサポートする制度なので、カードローンや住宅ローンといったいかなる借金の返済にも充ててはいけません。
生活保護費を借金返済に充てているとバレたら、生活保護が打ち切られる上に借金が残る最悪の状態になってしまいます。
返しきれない借金があるならば事前に債務整理を行い、自己破産も視野に入れておくべきでしょう。
生活保護を受けていると自己破産の費用を支援してもらえます。
自己破産した後に生活保護の申請を行うことも可能ですが、負担をなくしたいなら生活保護を申請した後に自己破産についてケースワーカーへ相談してみてはどうでしょうか。
申請前に知っておきたい生活保護のデメリットとしてはいけないこと
借金のように返済する必要もなく、国民の生活をサポートしてくれる生活保護ですが、もちろんデメリットもあります。
また生活保護を受けている間は、贅沢品の購入やお金を借りる行為など、してはいけないことも多いです。
生活保護のデメリットやしてはいけないことの一覧は次のとおり。
- 家や車、宝石などの贅沢品を買えない
- 生命保険や医療保険に加入できない*
- クレジットカードの発行に申し込めない
- ローンが組めずお金を借りられない
- ケースワーカーに生活状況を確認される
- 状況によっては引っ越しが必要
*条件あり
生活保護は資産となるものがあれば、切り崩してお金にしなければいけないため、家や車、宝石など贅沢品の購入はできません。
テレビやパソコン、ゲーム機は認められるケースが多いですが、ケースワーカーの訪問時に贅沢しているとみなされると、生活保護の受給がストップする可能性もあります。
また生命保険については担保として見られるため、以下の条件であれば加入が認められることがあります。
- 貯蓄性のない掛け捨て型保険でありながら、生命・身体の保障を目的としていること
- 保険料が最低生活費を圧迫しない程度(最低生活費の1割)であること
圧迫しない程度の保険料で加入できる県民共済などの利用が多いです。
くわえて生活保護を受けていると1~3ヶ月に一度、ケースワーカーが家庭訪問に訪れます。
毎回「生活保護を受給する資格があるか?」「生活を立て直そうと努力しているか?」確認に来るため、人によっては生活を監視されている気分に陥るときもあるでしょう。
生活保護受給者は原則お金を借りてはいけない
生活保護受給者は、クレジットカードやローンも返済能力がないとみなされ審査に通らなくなります。
生活保護費だけではお金が足りなくても、原則お金を借りてはいけません。
生活保護受給者がお金を借りたい時は「知人にお金を借りる」かやむを得ない事情に限り「市役所でお金を借りる」方法のみ。
なお親や知人からお金を借りたら収入とみなされるため、ケースワーカーに申告しないと不正受給となります。
生活保護でもお金を借りられると甘い声をかけてくる金融機関は、闇金の可能性が高いです。
生活保護受給者がお金を借りる方法は、下記の記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
あくまでも生活保護は、受給によって自立支援を促す制度です。
生活保護で立て直しを行い卒業できれば、クレジットカードの発行や贅沢品ももちろん購入できるようになりますよ。
生活保護の実態を調査!元ケースワーカーにインタビュー
生活保護についてさらにリアルな意見を伺うため、当サイトでは元ケースワーカーの方にインタビューを実施しました。
現場で実務にあたっていたからこそわかる、生活保護の実態に迫っていきます。
また今後の生活保護がどうなっていくのかについても考えをお聞きしました!


さまざまな生活課題を抱えた多くの人と真剣に向き合い、考え、課題解決に繋げていく業務に関心を持ったことがきっかけです。
他者貢献ができるだけではなく、自身の価値観、思考の幅を広げられる可能性に魅了されました。


ケースワーカーの主な仕事は、次の4つだと考えています。
- 訪問業務
- 生活相談
- 調査業務
- 緊急対応
現在の生活状況を把握する目的で、定期的に自宅を訪問して面接を行います。
生活に困窮している方の相談に乗り、生活保護制度だけでなく、社会資源の活用等を案内します。
社会資源を活用した上で、なお生活に困窮している場合は、生活保護の申請について案内します。
生活保護申請をされた方の生活歴、収入状況、資産状況、家族関係等を調査し、保護の可否や程度について決定します。
生活保護受給者の急なトラブル(お金を無くした、逮捕された、自殺した等)に対応するものです。


保護生活受給世帯の50%は高齢者世帯です。
主に高齢で働けない、病気で医療費が払えない、年金が貰えない等の理由で保護申請をしています。
その他は母子世帯、傷病者世帯、障害者世帯(主に精神疾患)が生活保護申請に繋がりやすいです。
また、ケースワーカー1人あたり80世帯~90世帯を担当しています。


一番大変なことは、不当要求の対応です。
例えば、「お金が足りないから、もっと出せ」、「高級マンションじゃないと住めない」などを横柄な態度で延々と主張してくる受給者の対応には苦戦します。
我々ができることは制度の範囲内で公正公平に扱うことが基本です。
逆に喜びを感じたことは、生活保護受給者の経済的自立です。
受給者からの「ありがとう」の言葉は大変貴重なものであり、喜ばしいです。


- 居宅の状況確認(衛生面は維持されているか、エアコンは完備されているか)
- 世帯状況の確認(申請のとおりの人数で間違いないか)
- 収入状況、資産状況の確認(自動車、その他高価な物がないか)
- 家族関係、近所との付き合いの確認(日常的な支援をしてくれる人はいないか)
- これまでの生活歴の確認(主に申請者の性格、価値観を少しでも把握する)
以上①~④について面接を行います。


はい。以下の理由から最低生活維持が可能と判断し、生活保護から自立した人はいます。
・就職して安定的な収入を得た。
・年金を受給できるようになった。(高齢者世帯、障害者世帯のケース)
・親族が引き取って面倒を見てくれる。
・結婚により、旦那の収入で生活を送ることが可能である。(母子世帯のケース)


生活保護を受けている人は収入状況を申告する義務がありますが、守らない方が多いのも事実です。
- 就労収入の未申告
- 損害賠償金の未申告
- 高校生のアルバイト収入の未申告
保護申請時は無収入であったが、保護開始後に就職し、毎月収入を得ていたが、福祉事務所に報告していなかった。
1年後に住民税の課税調査にて200万円程の不正受給が発覚した。
交通事故(被害者)を理由に無職となり、保護申請に至ったケース。
保護開始後に示談が成立し、損害賠償金600万円が受給者に支払われたが、福祉事務所に報告しないで、自動車購入や風俗等に使ってしまった。
上記1と同様に住民税の課税調査で未申告が判明したケース。世帯主である母親は高校生の息子がアルバイト収入を得ていることを知らず、福祉事務所に報告していなかった。
上記1.2は悪質なケースであり、保護費が税金で賄われていること、保護を受給されていない世帯との均衡を失することを踏まえると、到底許されることではありません。
一方、高校生の事例については個人的に悔やまれる内容です。
高校生の言い分は「母親に迷惑をかけたくないから、学習塾や修学旅行の費用を自身で賄うことを考えていた」とのことでした。
アルバイトで得た収入を申告すれば、学習塾や修学旅行の費用は生活費として認定しない措置も取れたので何とも複雑な思いでした。


コロナウイルスの感染拡大防止策として、外出自粛と営業自粛の措置が取られていますが、これらに伴う経済的打撃は戦後最大と言われています。
その関係で雇用情勢は深刻化しており、多くの人が職や住居を失っている状況です。
何より一番の問題は、このような状況がいつまで続くか分からないこと。
おそらく長期戦になると思うので、一時的な繋ぎの支援を目的とした制度では効果は見込めないでしょう。
そうなると、最後のセーフティネットである生活保護制度に頼らざるを得ない人が急増することは間違いないと考えています。


今後、日本全体が次の3つの課題に直面すると考えています。
- 少子高齢化が進行すること
- テクノロジー(AI等)が普及し進化する
- 財政赤字が深刻化すること
社会経済の支え手となる若者が減り、高齢者が急増する。
仕事の効率化が進み、人手が不要になり失業率が急増する。
社会保障費に充てる財源確保が難しくなる。
以上は私の見解ですが、これらを踏まえると生活保護の受給者数は増加の一途を辿ると考えられます。
そうであるにも関わらず、保護費の財源確保が難しくなるという課題に直面するでしょう。
国としては「最低限度の生活水準」の見直しを行わざるを得なくなり、生活保護受給のハードルが現在よりも一層厳しくなると私は考えています。
元ケースワーカーの大スケさんに、生活保護の実態と今後の展望をお伺いしました。
ケースワーカーは私たちが思っている以上に幅広い業務を行っています。ケースワーカー1人につき、80~90世帯を対応しているというのは驚きました。
コロナウイルスの影響や、国の課題によって生活保護者が増えるとのご意見も。
自分が本当に困ったときに国からの援助を利用できるよう、生活保護についてきちんと学んでおきましょう。


2010年から公務員として勤務し、2019年末まで生活保護関係のケースワーカーとして従事。
生活困窮者の相談援助や保護費の算定事務、訪問記録の作成事務などを担当。
>>大スケさんのブログ
その際、収入分を生活保護費から引いて計算を行いますが、今回の給付金10万円は収入とみなされません。